行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成18年1問

基礎法学

○:3.和解 調停 仲裁 ADR


問1 裁判外の紛争処理手続の種類に関する次の文章の空欄[A]~[D]内に当てはまる語として、正しいものの組合せはどれか。

紛争当事者は、話し合いにより互いに譲り合って紛争を解決することができる。しかし当事者間で話し合いがつかないときは、権威のある第三者に入ってもらって、紛争を解決するほかない。国家はそのために、正式な裁判のほかにも種々の制度を用意しているが、その一つが裁判上の[A]である。また「当事者の互譲により、条理にかない実情に即した解決を図ることを目的とする」紛争解決方法として、わが国では[B]が発達し、争いの性質によっては訴訟よりも活用されてきた。たとえば家事審判法によれば、[B]を行うことのできる事件についてはいきなり訴訟を提起することはできず、まずは[B]の申立てをしなければならない。裁判によらない紛争解決の方法としては、さらに[C]がある。これは紛争当事者が争いの解決のために第三者を選び、その判断に服することを約束することによって争いを解決する手段であり、特に商人間の紛争解決手法として古くから発達してきた。近時はこのような裁判外の紛争処理方法を[D]として捉えて、その機能を強化することへの期待が高まっており、関係する制度の整備が行われている。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.和解 調停 仲裁 PFI

☓:2.示談 仲裁 あっせん ADR

○:3.和解 調停 仲裁 ADR

☓:4.調停 仲裁 あっせん PFI

☓:5.示談 あっせん 裁定 PSE

解説

A.「和解」。
和解と示談は類似した用語ではあるが、民事訴訟法においては、示談という用語は使われていないため(民事訴訟法第267条等)、裁判上や訴訟上とした場合に使う用語は、「和解」が適切となる。
したがって、空欄Aの直前にある「裁判上の」という文言から、「和解」がもっとも適当な用語となる。
なお、和解と示談の厳密な意味の違いとしては、和解は互譲が要件になっている(民法第695条)のに対し、示談は一方が全面的に譲歩することもあるという点で異なる。
B.「調停」。
調停とは、紛争当事者双方の間に第三者が介入して紛争の解決を図る手続きで、その具体例としては、家事調停、民事調停、公害紛争調停、ADR法による調停などがある。
また、離婚や相続などの紛争は調停前置主義を採用しているため、原則として調停をしなければ裁判を起こすことができない(家事審判法18条1項)。
本文では「家事審判法によれば、[B]を行うことのできる事件についてはいきなり訴訟を提起することはできず、まずは[B]の申立てをしなければならない。」としているため、「調停」が入ることが分かる。
C.「仲裁」。
仲裁とは、私人間の紛争を訴訟によらず解決する方法の一つで、当事者の合意(仲裁合意)に基づき、第三者(仲裁人)の判断(仲裁判断)による紛争解決を行う手続をいう。
空欄Cの前後にある「裁判によらない紛争解決の方法」及び「紛争当事者が争いの解決のために第三者を選び、その判断に服することを約束することによって争いを解決する手段」という文から「仲裁」が入ることが分かる。
D.「ADR」。
ADRとは、裁判外の「代替的紛争解決方法」のことで、平成19年4月1日から施行された「裁判外紛争手続の利用の促進に関する法律」は、一般に「ADR法」と呼ばれている。
なお、「PFI」とは、公共施設に関する事を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う手法のことで、平成11年に制定された「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」は一般に「PFI法」と呼ばれている。
また、「PSE」については、電気用品の安全性の確保を図った「電気用品安全法」は一般に「PSE法」と呼ばれており、安全性を確保された電気用品にPSEマークを表示することなどが義務付けられている。


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