解答 行政書士試験 平成18年15問
行政法 行政不服審査法
○:2.審査庁は、「本案について理由がないとみえるとき」には、執行停止をしないことができる。
○:2.審査庁は、「本案について理由がないとみえるとき」には、執行停止をしないことができる。
問15
行政不服審査法による審査請求における執行停止に関する記述として、妥当なものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.従来、執行停止の要件としては、「重大な損害」が必要とされていたが、平成16年の法改正により、「回復困難な損害」で足りることとされた。
○:2.審査庁は、「本案について理由がないとみえるとき」には、執行停止をしないことができる。
☓:3.申請拒否処分に対する審査請求については、平成16年の法改正により、執行停止制度に加えて、「仮の義務付け」と「仮の差止め」の制度が明文化された。
☓:4.執行停止の決定がなされた場合において、それに内閣総理大臣が異議を述べたときは、審査庁は、執行停止を取消さなければならないこととされている。
☓:5.処分庁の上級庁である審査庁は、審査請求人の申立てによることなく職権により執行停止をすることは許されない。
解説
1.誤り。
審査請求人から執行停止の申立てがあった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、原則として執行停止をしなければならない(行政不服審査法第34条4項本文)。
したがって、本肢は「重大な損害」と「回復困難な損害」の記述が逆である。
2.正しい。
審査請求人から執行停止の申立てがあった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない。ただし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、処分の執行若しくは手続の続行ができなくなるおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、この限りでない(行政不服審査法第34条4項)。
3.誤り。
行政事件訴訟法では仮の義務付け、仮の差止めの規定が明文化されたが(行政事件訴訟法第37条の5)、行政不服審査法には当該制度はない。
4.誤り。
行政事件訴訟法では、執行停止に対する内閣総理大臣の異議の制度があるが(行政事件訴訟法第27条)、 行政不服審査法には当該制度はない。
5.誤り。
処分庁の上級行政庁である審査庁は、必要があると認めるときは、審査請求人の申立てにより又は職権で、執行停止をすることができる(行政不服審査法第34条2項)。
なお、上級行政庁以外の審査庁が職権で執行停止できないのに対し(行政不服審査法第34条3項)、上級行政庁が審査庁の場合、職権で執行停止できるとされているのは、上級行政庁は一般的指揮監督権を有しており、職権に基づく執行停止もその権限の枠内にあると考えられるからである。
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