解答 行政書士試験 平成18年18問
行政法 行政事件訴訟法
○:2.仮の義務付けまたは仮の差止めは、処分の執行停止と同様の機能を有するので、内閣総理大臣の異議の制度が準用されている。
○:2.仮の義務付けまたは仮の差止めは、処分の執行停止と同様の機能を有するので、内閣総理大臣の異議の制度が準用されている。
問18
平成16年の行政事件訴訟法改正後の行政事件訴訟制度の記述として、正しいものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.従来、法令に基づく申請についてのみ認められていた不作為違法確認訴訟が、規制権限の不行使についても認められることになった。
○:2.仮の義務付けまたは仮の差止めは、処分の執行停止と同様の機能を有するので、内閣総理大臣の異議の制度が準用されている。
☓:3.処分が、国または公共団体に所属しない行政庁によって行われた場合、当該処分の取消を求める訴えは、処分取消訴訟に替わり、民事訴訟によることとなった。
☓:4.法令に基づく申請に対して相当の期間内に何らの処分もなされない場合は、原告の判断により、不作為違法確認訴訟または義務付け訴訟のいずれかを選択して提起することができる。
☓:5.処分もしくは裁決の存否またはその効力の有無を確認する判決(無効等の確認判決)は、第三者に対しても効力を有することが明文上認められた。
解説
1.誤り。
不作為違法確認訴訟についての実質的変更はされておらず、現在も法令に基づく申請についてのみ認められている(行政事件訴訟法第3条5項)。
なお、規制権限の不行使に関しては、原則として義務づけの訴えが対応する(当事者訴訟、無名抗告訴訟ということもありえる)。
行政事件訴訟法第3条5項
この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
2.正しい。
仮の義務付けまたは仮の差止めは、処分の執行停止における内閣総理大臣の異議の制度(行政事件訴訟法第27条)を準用している(行政事件訴訟法第37条の5第4項)。
3.誤り。
処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属しない場合、取消訴訟は、当該行政庁を被告として提起する(行政事件訴訟法第11条2項)。
4.誤り。
法令に基づく申請に対して相当の期間内に何らの処分もなされない場合の選択肢としては、不作為の違法確認訴訟を単独で提起するか又は義務付けの訴えと不作為の違法確認訴訟を併合して訴えなければならない(行政事件訴訟法第37条の3第3項1号)。
したがって、「義務付け訴訟」単独を選択肢に入れている点が誤りである。
5.誤り。
行政事件訴訟法第32条1項では「処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する。」と規定しているが、無効等確認訴訟では当該規定を準用しておらず、改正もされていない(行政事件訴訟法第38条)。
これは、第三者効は、形成力の効果によるものであって、確認判決には形成力がないため、必然的に第三者効を認める余地はないという立法者意思であるが、この考え方に対しては批判も多くあり、実際、特例法(行政事件訴訟法の前身)については、無効確認判決に第三者効を認めた例がある(最判昭和42年3月14日)。
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