解答 行政書士試験 平成18年2問
基礎法学
○:1.一つ
○:1.一つ
問2 外国人に関する次のア~オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア、父母がともに外国人である場合において、子が日本で生まれたときは、その子は、日本国民となる。
イ、外国人が日本国外において犯罪を行った場合には、日本の刑法が適用されることはない。
ウ、地方公共団体は、条例により、その区域内に住所のある外国人に対して、当該地方公共団体の長および議会の議員の選挙権を付与することができる。
エ、外国人は、法令または条約により禁止される場合を除いて、私法上の権利を亨有する。
オ、ともに外国人である者が日本において婚姻する場合の婚姻の成立および効力については、日本の法律による。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
○:1.一つ
☓:2.二つ
☓:3.三つ
☓:4.四つ
☓:5.五つ
解説
ア.誤り。
子が日本国民となる場合の要件は、
【1】出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
【2】出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき。
【3】日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。
のいずれかを満たしているときである(国籍法第2条)。
本肢では、父母がともに外国人であるから、【1】にはあてはまらず、また、【2】と【3】の要件も満たしてないため、子は日本国民にならない。
イ.誤り。
わが国の法の適用に関しては、属地主義が原則的に採用されているが(刑法第1条1項など)、それを補充する形で保護主義等も採用されている(刑法第2条)。
例えば、外国人が日本国外で通貨を偽造した場合であっても、日本の刑法が適用される(刑法第2条4号)。
したがって、「日本の刑法が適用されることはない。」とはいえない。
属地主義法の適用範囲に関する立法主義の一つで、自国領域内に場所的に限定するという考え方
保護主義法の適用範囲に関する立法主義の一つで、自国または自国民の法益を侵害する犯罪に対しては、犯人の国籍や犯罪地がどこであるかを問わず自国の刑法を適用するという考え方
ウ.誤り。
判例において法律によって地方参政権を付与することは、憲法上禁止されているものではないとされているが、これはあくまでも「法律」によってであり、条例による長や議院の選挙権の付与を認めたものではない(外国人の地方選挙権:最判平成7年2月28日)。
また、学説上においても、通説は、地方自治法が選挙権の主体を「日本国民」に限定していることから、条例によって外国人へ当該地方公共団体の長および議会の議員の選挙権付与は認められないと解している。
もっとも、当該地方公共団体の長および議会の議員の選挙ではないが、地域の重要な事柄の意思決定手段とする住民投票条例では、定住外国人に対し選挙権を付与する自治体は存在している(岸和田市・大和市など)。
エ.正しい。
外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する(民法第3条2項)。
オ.誤り。
婚姻の成立及び効力については通則法(法の適用に関する通則法)にて、次のように規定されている。
通則法第24条1項
婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による。
通則法第25条
婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による。
したがって、外国人同士が日本で婚姻する場合の婚姻の成立および効力は、「日本の法律による。」とはいえない。
例えば、男18歳、女16歳のドイツ人のカップルが日本に旅行に来て婚姻しようとしても、ドイツでは男女ともに婚姻できる年齢は18歳となっているため、婚姻することはできないことになる。
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