解答 行政書士試験 平成18年21問
地方自治法
○:5.都道府県による法定受託事務の執行については、国の大臣による代執行の手続があるが、自治事務の執行については、こうした手続はない。
○:5.都道府県による法定受託事務の執行については、国の大臣による代執行の手続があるが、自治事務の執行については、こうした手続はない。
問21
都道府県の処理する自治事務と法定受託事務に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.自治事務の執行の経費は、都道府県が負担するのが原則であるが、法定受託事務の執行の経費は、国が負担するのが原則である。
☓:2.都道府県議会は、自治事務に関しては、国の法令に違反しなければ条例を制定できるが、法定受託事務については、国の法令の特別の委任がなければ条例を制定できない。
☓:3.都道府県の監査委員は、自治事務の執行については原則として監査できるが、法定受託事務の執行については、政令で定めるものについてのみ監査できる。
☓:4.都道府県による法定受託事務の執行については、国の大臣は、一般的な指揮監督の権限を有するが、自治事務については、法定された関与のみが認められる。
○:5.都道府県による法定受託事務の執行については、国の大臣による代執行の手続があるが、自治事務の執行については、こうした手続はない。
解説
1.誤り。
地方公共団体の事務に要する経費において、その全部又は一部について国が負担するものもあるが、法定受託事務・自治事務に関わらず地方公共団体の事務の経費は原則として地方公共団体(本肢の場合は都道府県)が負担することになる(地方財政法9条、10条以下)。
2.誤り。
地方公共団体は、事務に関して条例を制定できるが、条例の制定については、法定受託事務と自治事務の区別はされていないため、都道府県議会は法定受託事務についても条例を制定できる(地方自治法第2条2項、14条1項)。
3.誤り。
監査委員は「自治事務にあっては労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるもの」、「法定受託事務にあっては国の安全を害するおそれがあることその他の事由により監査委員の監査の対象とすることが適当でないものとして政令で定めるもの」を除き事務の執行の監査ができる(地方自治法199条2項)。
したがって、「都道府県の監査委員は、・・・法定受託事務の執行については、政令で定めるものについてのみ監査できる。」とするのは誤りである。 」
4.誤り。
自治事務についても、法定受託事務についても、一般的な指揮監督権は有しておらず、あくまでも、法律又はこれに基づく政令によらなければ、関与を受けることはない(地方自治法第245条の2)。
5.正しい。
地方自治法第245条の8では、法定受託事務の執行について、違反や怠慢等がある場合の国の大臣による代執行の手続きについて定めているが、同規定の対象はあくまでも法定受託事務のみであり、地方自治法上は、自治事務についての代執行手続きは定めてない。
もっとも、地方自治法245条の3第2項では、「普通地方公共団体は自治事務の処理に関し代執行を受け、又は要することとすることのないようにしなければならない。」という趣旨の規定がおかれていることから、自治事務に対する代執行が完全に否定されているわけではないと解されている。
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