解答 行政書士試験 平成18年26問
情報公開法
○:5.Bは、非公開決定理由書において付記された理由以外の理由を、取消訴訟段階で主張することも認められる。
○:5.Bは、非公開決定理由書において付記された理由以外の理由を、取消訴訟段階で主張することも認められる。
問26
Aは行政庁Bに対し、情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)に基づいて行政文書の情報公開請求を行った。BがAの請求に対し一部不開示決定を行ったので、Aは異議申立てまたは情報公開訴訟を提起しようと考えている。次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らして、正しいものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.異議申立てに対し、Bは、当初の一部開示処分は誤りであり全てを不開示とするのが妥当であると判断した。この場合、Bは当初の一部開示決定を取り消し、全部を不開示とする決定を行うことができる。
☓:2.Aは、異議申立てを提起するか取消訴訟を提起するかを、自由に選択することができるが、一旦異議申立てを行った場合には、異議申立ての結論が出る前に取消訴訟を提起することは許されない。
☓:3.非公開決定の取消訴訟において当該行政文書が書証として提出された場合には、非公開決定の取消を求める訴えの利益は消滅する。
☓:4.行政文書等の開示請求権はAの一身に専属する権利とはいえないから、Aの死亡後も、当該行政文書の非公開決定の取消を求める訴えの利益は消滅しない。
○:5.Bは、非公開決定理由書において付記された理由以外の理由を、取消訴訟段階で主張することも認められる。
解説
1.誤り。
処分庁は、異議申立人の不利益に処分を変更することはできない(行政不服審査法47条3項)。
したがって、Bは当初の一部開示決定を取り消し、全部を不開示とする決定を行うことはできない。
2.誤り。
情報公開法は、不服申立前置主義を採用していないため、不服申立てによるか、取消訴訟によるか、両者を同時にするかは、当事者の意思によって、自由に選択することができる(自由選択主義)。
また、一旦不服申立てをした場合に、裁決等が出るのを待たずに、同一の処分に対し、重ねて取消訴訟を提起するという選択も可能である。
もっとも、その場合、裁判所はその審査請求に対する裁決があるまで訴訟手続を中止することができる(行政事件訴訟法第8条3項)。
3.誤り。
「公開請求権者は、本件条例に基づき公文書の公開を請求して、所定の手続により請求に係る公文書を閲覧し、又は写しの交付を受けることを求める法律上の利益を有するというべきであるから、請求に係る公文書の非公開決定の取消訴訟において当該公文書が書証として提出されたとしても、当該公文書の非公開決定の取消しを求める訴えの利益は消滅するものではないと解するのが相当である。」(最判平成14年2月28日)。
4.誤り。
「本件条例に基づく公文書等の開示請求権は、請求権者の一身に専属する権利であって相続の対象となるものではないから、本件訴訟のうち同被上告人に関する部分は、その死亡により当然に終了しており、原判決中同被上告人に関する部分はこれを看過してされたものとして破棄を免れない。」(最判平成16年2月24日)。
5.正しい。
「一たび通知書に理由を付記した以上、実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はないとみるのが相当である。」(最判平成11年11月19日)。
若干分かりづらい言い回しだが、とどのつまり取消訴訟で非公開決定の付記理由以外を主張することができるということである。
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