解答 行政書士試験 平成18年29問
民法物権
○:5.Aは、所有者のいない動産を所有の意思をもって占有を始めた場合に、その動産の所有権を取得する。
○:5.Aは、所有者のいない動産を所有の意思をもって占有を始めた場合に、その動産の所有権を取得する。
問29
所有権の原始取得に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.Aは、B所有の土地をBの所有であると知りつつ所有の意思をもって平穏かつ公然に10年間占有した場合に、その土地の所有権を取得する。
☓:2.Aの所有する動産とBの所有する動産が付合して分離することが不可能になった場合において、両動産について主従の区別をすることができないときには、AとBは、当然に相等しい割合でその合成物を共有するものとみなす。
☓:3.BがAの所持する材料に工作を加えて椅子を完成させた場合に、その椅子の所有権は、AとBとの取決めに関係なく、Aに帰属する。
☓:4.Bの所有する動産がAの所有する不動産に従として付合した場合に、AとBは、AとBとの取決めに関係なく、Aの不動産の価格とBの動産の価格の割合に応じてその合成物を共有する。
○:5.Aは、所有者のいない動産を所有の意思をもって占有を始めた場合に、その動産の所有権を取得する。
解説
1.誤り。
所有の意思をもって、平穏、公然、善意、無過失に占有の場合は10年で時効取得となる(民法第162条2項)。
しかし、本肢は悪意占有なので、その場合の時効取得には20年の占有を要する(民法第162条1項)。
2.誤り。
付合した動産について主従の区別をすることができないときは、各動産の所有者は、その付合の時における価格の割合に応じてその合成物を共有する(民法第244条)。
3.誤り。
BがAの所持する材料に工作を加えて椅子を完成させた場合、工作された椅子の価格が材料の価格を著しく超える等がなければ椅子の所有権は材料の所有者たるAに帰属することになるが(民法第246条1項)、当該規定は任意規定なので、所有権の帰属について取決めがあればそれによる。
したがって、本肢は「取決めに関係なく、」としている点が誤っている。
4.誤り。
Bの所有する動産がAの所有する不動産に従として付合した場合、不動産の所有者であるAが、その不動産に従として付合した物の所有権を取得するのが原則である(民法第242条本文)。
また、当該規定は任意規定なので、所有権の帰属について取決めがあればそれによる。
5.正しい。
所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する(無主物先占:民法第239条1項)。
この問題の成績
まだ、データがありません。