解答 行政書士試験 平成18年34問
民法債権
○:2.ア・エ
○:2.ア・エ
問34 観光バス会社Aの運転手Bは、営業運転中に、Cが運転するD社のタンクローリー車と衝突事故を起こし、バスの乗客が負傷した。その事故は、Bの前方不注意とCの居眠り運転が競合して生じたものであり、B・Cの過失割合は3:7であった。この場合の法律関係に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。
ア、Aが乗客の請求に応じて損害を賠償した場合には、Aは、Cの過失割合に応じてCに対して求償することができる。
イ、Bが乗客の請求に応じて損害を賠償した場合には、Bは、賠償額全額につきDに対して求償することができる。
ウ、Bが乗客の請求に応じて損害を賠償した場合には、Bは、賠償額全額につきAに対して求償することができる。
エ、BおよびCが乗客の請求に応じて対等額を支出して損害の賠償を行った場合には、Bは、自己の負担部分を超える範囲につきDに対して求償することができる。
オ、Cが乗客の請求に応じて損害を賠償した場合には、Cは、Bの負担部分につきBに対してのみ求償することができる。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.ア・ウ
○:2.ア・エ
☓:3.イ・エ
☓:4.イ・オ
☓:5.ウ・オ
解説
ア.正しい。
「使用者は、被用者と第三者との共同過失によって惹起された交通事故による損害を賠償したときは、過失の割合にしたがって、右第三者に対し、求償権を行使することができる。」(最判昭和41年11月18日)
したがって、Aは、Cの過失割合に応じてCに対して求償することができる。
イ.誤り。
「被用者と第三者との共同不法行為により他人に損害を加えた場合において、第三者が自己と被用者との過失割合に従って定められるべき自己の負担部分を超えて被害者に損害を賠償したときは、第三者は、被用者の負担部分について使用者に対し求償することができる。」(最判昭和63年7月1日) したがって、BはDに求償することができるが、全額ではなく、あくまでCの過失割合に従い負担する部分に限られる。
ウ.誤り。
使用者は加害者たる被用者に信義則上相当な範囲で求償できるとされているが(最判昭和51年7月8日、民法715条3項)、本肢のような被用者から使用者に対するいわゆる逆求償については規定がなく、また、判例によっても認められていない。
もっとも、損害の公平な分担の見地からすれば認められるべきとの有力な肯定説もあり、議論されるところではあるが、いずれにしても全額請求できるわけではない。
エ.正しい。
肢イ参照。
オ.誤り。
使用者も被用者と同様に責任を負うことになるため、Cは、Bの負担部分につきBだけではなく、Aに対しても求償可能である(前掲最判昭和63年7月1日)。
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