解答 行政書士試験 平成18年40問
商法 会社法
○:2.合名会社の無限責任社員は、各社員が会社債務全額につき連帯責任を負うが、会社債権者に対して、まず会社資産から弁済を受けるように求めることができる。
○:2.合名会社の無限責任社員は、各社員が会社債務全額につき連帯責任を負うが、会社債権者に対して、まず会社資産から弁済を受けるように求めることができる。
問40
会社の種類に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.合名会社と合資会社の持分は、定款の定めにより1持分につき複数の議決権を与えることができるが、株式会社でも、1株に複数の議決権を有する種類株式を発行する旨を定款に定めることができる。
○:2.合名会社の無限責任社員は、各社員が会社債務全額につき連帯責任を負うが、会社債権者に対して、まず会社資産から弁済を受けるように求めることができる。
☓:3.合資会社の有限責任社員は、定款記載の出資額までしか責任を負わないため、有限責任社員となる時点で出資全額の履行が要求されている。
☓:4.株式会社は、株式を表章する有価証券を発行しなければならず、合名会社と合資会社でも持分を表章する有価証券を発行しなければならない。
☓:5.合資会社では、無限責任社員から業務執行権と会社代表権を有する代表社員を選任することを要し、株式会社では、取締役から業務執行権と会社代表権を有する代表取締役を選定する。
解説
1.誤り。
合名会社と合資会社の業務執行の意思決定は原則として社員一人一票による多数決で行う持分単一主義を採っており(会社法第590条2項参照)、定款によって、出資額による多数決とすることはできるが、1持分につき複数の議決権を与えることはできないと解される。
また、株式会社においても、1株1議決権の原則が採られており、1株につき複数の議決権を有するような株式は認められていない(会社法第308条1項)。
2.正しい。
合名会社の無限責任社員が、会社債権者に対して、連帯して無限の責任を負うのは、
【1】会社財産をもっても債務を完済できないとき
【2】会社財産に対する強制執行が功を奏しなかったとき
であるから、会社債権者に対して、まず会社資産から弁済を受けるように求めることができ、また、【2】の場合でも、社員が、当該持分会社に弁済をする資力があり、かつ、強制執行が容易であることを証明した場合は、同様に会社資産から弁済を受けるように求めることができる(会社法第580条1項)。
3.誤り。
合資会社の有限責任社員は、定款記載の出資額までしか責任を負わないという点は正しいが、合資会社の有限責任社員は、社員となる時点で出資全額の履行は要求されてはいない(会社法第580条1項)。
なお、合同会社の社員は原則として設立の登記をするまでに出資全額の払い込み又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならないとされており、同じ有限責任社員でこのような差異があるのは、合資会社には無限責任社員がおり、会社の債権者に対する一定の保護があるため、自立的な判断に委ねられたものである。
4.誤り。
株式会社は、法改正によって株券の不発行が原則となっている(会社法第214条)。
また、合名会社、合資会社においては、持分を表章する有価証券の発行は予定されておらず、発行しなければならないものではない。
5.誤り。
合資会社等の持分会社では、原則として業務を執行する社員が会社を代表するが(会社法第599条1項)、業務執行権は無限責任社員に限定されてないため、業務執行権と会社代表権を有する代表社員を無限責任社員から選任することを要するわけではない(会社法第590条1項、同法第591条1項)。
これに対し、株式会社は、代表取締役は、取締役から選任される(会社法第349条3項、同法第362条3項)。
なお、取締役会設置会社以外では、各取締役が代表し、必ずしも代表取締役を選任する必要があるわけでは無い。
この問題の成績
まだ、データがありません。