行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成18年9問

行政法 行政総論

○:3.諮問機関が示した答申・意見について、行政庁はそれを尊重すべきではあるが、法的に拘束されることはない。


問9

行政庁などの行政機関の概念に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.行政庁は独任制でなければならず、委員会などの合議体が行政庁としての役割を果たすことはない。

☓:2.行政庁、諮問機関、参与機関などの行政機関の定義は、国家行政組織法において定められている。

○:3.諮問機関が示した答申・意見について、行政庁はそれを尊重すべきではあるが、法的に拘束されることはない。

☓:4.行政庁の権限を補助機関が専決する場合には、代決の場合とは異なり、処分権限は行政庁ではなく、補助機関に帰属することとなる。

☓:5.補助機関とは行政主体の手足として実力を行使する機関であり、警察官、収税官などがこれに当たる。

解説

1.誤り。
行政庁は、行政需要に適応した最終的意思を迅速に決定し、これを外部に対して表示する必要があり、また、行政責任の所在を明確にするという観点から、独任制であることが多い(各省大臣、都道府県知事、市町村長等)。
しかし、政治的中立性や専門技術的な判断を要する分野においては、合議制が採られている(公正取引委員会、人事院教育委員会等)。
2.誤り。
国家行政組織法において、諮問機関、参与機関等の行政機関の定義は定められておらず、あくまで講学上の機関概念である。
参与機関参与機関とは、行政庁の意思や判断の決定に参与する機関であり、参与機関の議決を経た意見や答申は行政庁を法的に拘束する。
なお、参与機関の例としては、電波監理審議会、検察官適格審査会などがある。
諮問機関諮問機関とは、行政庁からの諮問に応じて、意見を具申する機関である。この意見については、行政庁はそれを尊重すべきではあるが、参与機関とは異なって行政庁を法的に拘束するものではない。
なお、諮問機関の例としては、地方制度調査会、財政制度等審議会、公務員制度調査会などがあり、一般に○○審議会、○○協議会、○○調査会などの名称が付されていることが多いが、参与機関も似た名称である事が多いので、それだけをもって明確に区別がつくわけではない。
3.正しい。
参与機関の議決に基づく答申等は行政庁に対する法的拘束力を有するが、諮問機関の答申等は行政庁に対する法的拘束力を有しない。
なお、行政庁が、諮問機関の答申等を尊重すべきであるという点については、次の判例を参考にされたい。
「一般に、行政庁が行政処分をするにあたって、諮問機関に諮問し、その決定を尊重して処分をしなければならない旨を法が定めているのは、処分行政庁が、諮問機関の決定(答申)を慎重に検討し、これに十分な考慮を払い、特段の合理的な理由のないかぎりこれに反する処分をしないように要求することにより、当該行政処分の客観的な適正妥当と公正を担保することを法が所期しているためであると考えられるから、かかる場合における諮問機関に対する諮問の経由は、極めて重大な意義を有する」(最判昭和50年5月29日)
4.誤り。
専決と代決は、いずれも補助機関に内部的に事務処理の決定を委任する行為であり、外部に対しては本来の行政庁の名で表示して行われる。
その違いは、専決は法令の規定に沿って、恒常的に行う(変化なく一定して行うという意味)ものであるのに対し、代決は決定権者の不在等の場合に臨時的に行うものである(同義として扱われることもある)。
専決であっても、代決であっても、本来の行政庁の名を表示しているので、処分権限は行政機関に帰属し、補助機関には帰属しない。
5.誤り。
補助機関とは、行政庁の意思決定を補助する機関のことで、例えば副市長・事務次官といった要職の他に一般職員も含まれる。
なお、警察官、収税官などのように、行政主体の手足として実力を行使する機関は、執行機関である。


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