解答 行政書士試験 平成19年1問
基礎法学
○:2.高等裁判所、地方裁判所および家庭裁判所の裁判官については65歳の定年制が施行されているが、最高裁判所および簡易裁判所の裁判官については定年の定めが存在しない。
○:2.高等裁判所、地方裁判所および家庭裁判所の裁判官については65歳の定年制が施行されているが、最高裁判所および簡易裁判所の裁判官については定年の定めが存在しない。
問1
各種の裁判所や裁判官に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.高等裁判所長官、判事、判事補および簡易裁判所判事は、いずれも最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣が任命する。
○:2.高等裁判所、地方裁判所および家庭裁判所の裁判官については65歳の定年制が施行されているが、最高裁判所および簡易裁判所の裁判官については定年の定めが存在しない。
☓:3.地方裁判所や家庭裁判所の裁判は、事案の性質に応じて、三人の裁判官による合議制で行われる場合を除き、原則として一人の裁判官によって行われるが、高等裁判所の裁判は、法律に特別の定めがある場合を除き、複数の裁判官による合議制で行われることになっている。
☓:4.簡易裁判所は軽微な事件の処理のために設けられた下級裁判所であり、訴訟の目的の価額が一定額を超えない請求に関する民事事件、罰金以下の刑にあたる罪など一定の軽微な犯罪についての刑事事件の第一審を担当する。
☓:5.最高裁判所は、大法廷または小法廷で審理を行うが、法令等の憲法違反の判断や最高裁判所の判例を変更する判断をするときは、大法廷で裁判しなければならない。
解説
1.妥当である。
高等裁判所長官、判事、判事補及び簡易裁判所判事は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣でこれを任命する(裁判所法第40条1項)。
なお、本肢の言う「高等裁判所長官、判事、判事補及び簡易裁判所判事」は、下級裁判所の裁判官に該当するため(裁判所法第5条2項)、憲法第80条前段の「下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣でこれを任命する。」からも判断することができる。
2.妥当でない。
憲法では、最高裁判所及び下級裁判所の裁判官は、「法律の定める年齢に達した時に退官する。」としており(憲法第79条5項、80条ただしがき)、これを受けて裁判所法第50条では、最高裁判所及び簡易裁判所の裁判官は70歳、高等裁判所、地方裁判所又は家庭裁判所の裁判官は、65歳に達した時に退官するとしている。
したがって、最高裁判所および簡易裁判所の裁判官にも定年の定めは存在する。
3.妥当である。
地方裁判所や家庭裁判所の裁判は、事案の性質に応じて、三人の裁判官による合議制で行われる場合を除き、原則として一人の裁判官によって行われるが(26条1項、31条の4第1項)、高等裁判所の裁判は、法律に特別の定めがある場合を除き、複数(原則として3人だが、内乱に関する罪に係る訴訟の第一審の場合のみ5人)の裁判官による合議制で行われることになっている(裁判所法18条)。
4.妥当である。
簡易裁判所は軽微な事件の処理のために設けられた下級裁判所であり、訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求に関する民事事件(裁判所法第33条1項1号)、罰金以下の刑にあたる罪など一定の軽微な犯罪についての刑事事件(裁判所法第33条1項2号)の第一審を担当する(裁判所法第33条1項本文)。
5.妥当である。
最高裁判所は、大法廷または小法廷で審理を行うが(裁判所法第9条1項)、法令等の憲法違反の判断や最高裁判所の判例を変更する判断をするときは、大法廷で裁判しなければならない(裁判所法第10条)。
なお、規定では「最高裁判所」とされているため、その前身にあたる「大審院」の判例を変更する場合は、小法廷ですることができる。
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