行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成19年10問

行政総論

○:3.自動車の運転免許の期限として、免許証に記載されている「○年○月○日まで有効」という条件は、行政行為の付款理論でいうところの「期限」に該当する。


問10

自動車の運転免許制度に関連した次の記述のうち、妥当なものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.自動車の運転免許は、免許を受けた者に対し、公道上で自動車を運転することができるという新たな法律上の地位を付与するものであるから、行政行為の分類理論でいうところの「特許」に該当する。

☓:2.自動車の運転免許を交付する事務は、都道府県公安委員会が処理しているが、これは本来国の事務であり、国家公安委員会から都道府県公安委員会に対して機関委任されているところの「国の機関委任事務」に該当する。

○:3.自動車の運転免許の期限として、免許証に記載されている「○年○月○日まで有効」という条件は、行政行為の付款理論でいうところの「期限」に該当する。

☓:4.自動車を運転する者は、運転中は必ず免許証を携帯しなければならないものとされているため、免許証を携帯せずに運転し、警察官の求めに対して直ちに免許証を提示できなかった場合は、無免許運転として扱われることになる。

☓:5.道路交通法違反行為をしたことを理由として、公安委員会から運転免許停止処分を受けた者が、その取消しを求めて出訴している間に免許停止期間が終了した場合は、その行為による違反点数が残っていたとしても訴えの利益は消滅する。

解説

1.妥当でない。
本来国民が有している権利(自由)について、一般的に禁止しておき、一定の技能や知識を有する特定の者等に対して解除するものは許可にあたる。
この点、車が最初に日本に入ってきた頃は(明治36年頃)、自由に運転できたが、交通の秩序の必要性から免許(許可)制にされたものであるから、自動車の運転免許は、行政行為の分類理論の「許可」に該当する。
したがって、自動車の運転免許は、「特許」には該当しない。
なお、行政行為の分類理論において、特許とは、特定人のために、新たな権利を設定し、又は法律上の地位を付与する行為である。
2.妥当でない。
自動車の運転免許を交付する事務を実際にしているのは、警視庁及び各道府県警察本部交通部であるが、これは、本来、都道府県公安委員会がすべき事務について(道路交通法第84条1項)、委任を受ける形でしているものであり、事務の区分としては、自治事務に該当する(地方自治法第2条8項、別表第一参照)。
また、そもそも国の機関委任事務制度は平成12年のいわゆる地方分権一括法の施行により廃止されているため(代わって、法定受託事務と自治事務の区分ができた。)、国の機関委任事務には該当しえない。
3.妥当である。
行政行為の付款理論でいうところの「期限」とは、行政行為の効果を将来の確実な事実にかからしめる意思表示をいう。
そして、自動車の運転免許証に記載されている日付は、ここにいう「期限」に該当する。
4.妥当でない。
本肢については、無免許運転ではなく免許不携帯(免許の携帯義務違反)である(道路交通法第64条、95条)。
5.妥当でない。
最判昭和55年11月25日の判例によれば、免停の期間及び期間の経過により違反点数が消滅した場合は、道路交通法上の不利益を受ける恐れがなくなったことになり、取消の訴によって回復すべき法律上の利益は無いとしている。
しかし、本肢の場合は、違反点数が残っていることから再度処分を受けたときの加重要件となるため、訴えの利益を有すると言える。


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