解答 行政書士試験 平成19年18問
行政事件訴訟法
○:1.無効確認訴訟は、処分の無効確認を求める法律上の利益を有する者に限って提起することができる。
○:1.無効確認訴訟は、処分の無効確認を求める法律上の利益を有する者に限って提起することができる。
問18
行政事件訴訟法における処分無効確認訴訟に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
○:1.無効確認訴訟は、処分の無効確認を求める法律上の利益を有する者に限って提起することができる。
☓:2.処分が無効であることは、無効確認訴訟によってのみ主張でき、民事訴訟などにおいて、これを主張することはできない。
☓:3.無効な処分の違法性は重大かつ明白であるから、無効確認訴訟が提起されると、原則として、処分の執行は停止される。
☓:4.無効確認訴訟については、出訴期間の制限の規定はないが、取消訴訟の出訴期間の規定が準用される。
☓:5.取消訴訟について不服申立ての前置が要件とされている処分については、無効確認訴訟についても、それが要件となる。
解説
1.妥当である。
無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないものに限り、提起することができる(行政事件訴訟法第36条)。
2.妥当でない。
処分が無効であることは「現在の法律関係に関する訴え」である争点訴訟又は当事者訴訟でも主張することが可能であり、争点訴訟は民事訴訟である(行政事件訴訟法第45条)。
したがって、処分の無効を主張するのは、無効確認訴訟に限られず、民事訴訟で主張することもできる。
なお、争点訴訟とは、私法上の法律関係に関する訴訟において、その前提として、行政庁の処分等の存否又はその効力の有無が争われる民事訴訟のことで、単純に民事事件として処理するわけにもいかないので行政事件訴訟法45条で、行政事件訴訟法の規定の一部を準用するとしている。
争点訴訟の具体例としては、土地収用裁決の無効を前提として、土地所有権を失った者が、その所有権が今なお自分にあることの確認を求めて提起する場合である。
3.妥当でない。
取消訴訟の執行不停止原則に関する規定は無効確認訴訟で準用しているため、無効確認訴訟が提起されても、原則として、処分の執行は停止されない(行政事件訴訟法第25条、同法第38条3項)。
4.妥当でない。
取消訴訟の出訴期間に関する規定を無効確認訴訟は準用しておらず、また、独自での規定も無いため、無効確認訴訟は出訴期間の制限をうけない(行政事件訴訟法第14条1項、同法第38条)。
その理由は、無効な行政行為は、その瑕疵が重大且つ明白であるが故に無効となるのであり(最大判昭和31年7月18日など)、そこには公定力や不可争力は働かないため、それに対応する処分の無効の確認訴訟も、出訴期間の制限を受けるべきではないからである。
5.妥当でない。
無効確認訴訟で不服申立前置を採用した場合、必然的に前置する不服申立ての不服申立期間等の制限を受けることになってしまい無効な行政行為に対応する訴訟としての役割(肢4参照)を果たせなくなるため、無効確認訴訟では不服申立前置の規定(行政事件訴訟法第8条1項ただし書)を準用していない(同法第38条)。
したがって、取消訴訟について個別法で不服申立ての前置が要件とされている処分でも、無効確認訴訟では、それは要件とならない。
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