解答 行政書士試験 平成19年30問
民法物権
○:3.三つ
○:3.三つ
問30 Aは、Bから建物(以下、本件建物という)を賃借し、Aは、その建物内に電気製品(以下、本件動産という)等を備え付けている。Bの先取特権に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア、本件動産がCの所有物である場合に、本件動産について、Bは、先取特権を即時取得することはできない。
イ、Aが本件動産をCから買ったが、まだCに対して代金の支払いがない場合において、本件動産についてCの先取特権がBの先取特権よりも優先する。
ウ、Aがその所有物である本件動産をDに売って引き渡した場合に、本件動産について、Bは、先取特権を行使することはできない。
エ、Aがその所有物である本件動産をDに売った場合に、Aの取得する売買代金について、Bは、Dの支払い前に差押えをすれば、先取特権を行使することができる。
オ、Aが、Bの承諾を得て、本件建物をEに転貸した場合に、Bの先取特権は、Eの備え付けた動産には及ばない。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.一つ
☓:2.二つ
○:3.三つ
☓:4.四つ
☓:5.五つ
解説
ア.誤り。
本問のBが有する先取特権は、動産の先取特権のうち不動産賃貸の先取特権である(民法第312条、313条2項)。
そして、不動産賃貸の先取特権では、賃借人の所有物だと過失なく信頼した賃貸人を保護するために、即時取得の規定を準用している(民法第319条、192条)。
したがって、Bは、即時取得の要件をみたせば、本件動産について先取特権を即時取得することができる。
イ.誤り。
同一の動産について特別の先取特権が互いに競合する場合は優先権の順位があり、不動産賃貸は第一順位、動産売買は第三順位である(民法第330条1項、下記表参照)。
したがって、本件動産についてはBの先取特権がCの先取特権に優先する。
第一順位不動産の賃貸、旅館の宿泊及び運輸の先取特権
第二順位動産の保存の先取特権
※数人の保存者があるときは、後の保存者が前の保存者に優先する。
第三順位動産の売買、種苗又は肥料の供給、農業の労務及び工業の労務の先取特権
ウ.正しい。
先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、行使できない(民法第333条)。
したがって、Aが本件動産をDに売って引き渡した場合、Bはもはや先取特権を行使することはできなくなる。
エ.正しい。
先取特権は、物上代位行使をすることができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない(民法第304条1項)。
したがって、Aが本件動産をDに売った場合、その売買代金を支払い前に差押えをすれば、先取特権を行使することができる。
オ.誤り。
賃貸人の先取特権は、転貸の場合には転借人の動産にも及ぶ(民法第314条)。
したがって、本件建物をAがEに適法に転貸した場合、Bの先取特権は、Eの備え付けた動産に及ぶ。
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