解答 行政書士試験 平成19年31問
民法債権
○:2.Bは、目的物が特定されるまでの間は、B米店にある「もち米」の保管について善管注意義務を負うことはない。
○:2.Bは、目的物が特定されるまでの間は、B米店にある「もち米」の保管について善管注意義務を負うことはない。
問31
Aが「もち米」を50キロ買う契約をB米店との間で行い、Bによる引渡しの準備がまだ終わっていない場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.引渡し場所についてA・B間で決めていなかった場合に、BはAが取りに来るまで待っていればよい。
○:2.Bは、目的物が特定されるまでの間は、B米店にある「もち米」の保管について善管注意義務を負うことはない。
☓:3.目的物が特定される前に、隣家の火災によりB米店の「もち米」がすべて焼失してしまった場合、その焼失はBの責任ではないので、Bは他から「もち米」を再調達して引き渡す義務はない。
☓:4.A・B間で取り決めがなければ、Bは上等な「もち米」を50キロ引き渡さなければならない。
☓:5.「もち米」50キロの所有権は、目的物が特定される前でも、特約がなければ、A・B間の売買契約をした時に移転する。
解説
1.誤り。
弁済をすべき場所について特約がなければ、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において(持参債務の原則)、それぞれしなければならない(民法第484条)。
そして、「もち米」は種類物であり、ここにいう「その他の弁済」にあたるから、Bは、債権者Aの現在の住所に持参して「もち米」を引き渡さなければならない。
したがって、「BはAが取りに来るまで待っていればよい。」とする本肢は誤りである。
2.正しい。
債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、その物の保存について善管注意義務を負う(民法第400条)。
他方、種類債権については、代替性があり、滅失があっても別の物を調達して引き渡す義務を負うため、目的物が特定されるまでの間は(民法第401条2項参照)、善管注意義務を負うことはない。
3.誤り。
「もち米」が、Bの責任によらずしてすべて焼失してしまった場合、もち米を特定しているときは、Bはもち米の引渡し義務を免れるが、特定していないときは、代替性があるため、Bは同種のもち米を再調達しAに引き渡す義務がある。
4.誤り。
債権の目的物を種類のみで指定した場合において、法律行為の性質又は当事者の意思によってその品質を定めることができないときは、債務者は、中等の品質を有する物を給付しなければならない(民法第401条1項)。 したがって、Bは、中等の品質を有するもち米を給付しなければならない。
5.誤り。
「不特定物の売買においては、特段の事情のないかぎり、目的物が特定した時に買主に所有権が移転するものと解すべきである。」(最判昭和35年6月24日)
したがって、「もち米」50キロの所有権は、目的物が特定されていない場合、A・B間の売買契約をした時に移転しない。
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