解答 行政書士試験 平成19年4問
憲法
○:5.行政各部の政治的中立性と内閣の議会に対する政治責任の問題は別であり、内閣の所轄する人事院に対して国会による民主的統制が及ばなくても、合憲である。
○:5.行政各部の政治的中立性と内閣の議会に対する政治責任の問題は別であり、内閣の所轄する人事院に対して国会による民主的統制が及ばなくても、合憲である。
問4
国家公務員法102条1項が、その禁止対象とする「政治的行為」の範囲の確定を、独立行政委員会である人事院にゆだねていることの是非をめぐっては、次のようにさまざまな意見があり得る。それらのうち、内閣が行う高度に政治的な統治の作用と、一般の国家公務員による行政の作用とは質的に異なるという見地に基づく意見は、どれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.憲法が「行政権はすべて内閣に属する」と規定しているにもかかわらず、公務員の人事管理を内閣のコントロールが及ばない独立行政委員会にゆだねるのは、違憲である。
☓:2.公務員の政治的中立性を担保するためには、「政治的行為」の確定それ自体を政治問題にしないことが重要で、これを議会でなく人事院にゆだねるのは適切な立法政策である。
☓:3.人事院の定める「政治的行為」の範囲は、同時に国家公務員法による処罰の範囲を定める構成要件にもなるため、憲法が予定する立法の委任の範囲を超えており、違憲である。
☓:4.国家公務員法で人事官の弾劾訴追が国会の権限とされていることから、国会のコントロールが及んでおり、人事院規則は法律の忠実な具体化であるといえる。
○:5.行政各部の政治的中立性と内閣の議会に対する政治責任の問題は別であり、内閣の所轄する人事院に対して国会による民主的統制が及ばなくても、合憲である。
解説
1.問題文の見地に基づいてない。
本肢の意見は、結論が「違憲である」としており、政治的作用と非政治的作用が質的に異なるとは考えておらず、むしろ同一のものととらえている。
なお、憲法は、「行政権はすべて内閣に属する」と規定しておらず、「行政権は、内閣に属する。」と規定していることにも注意。
2.問題文の見地に基づいてない。
本肢の意見は、公務員の政治的中立性を担保するための立法政策の適正さや裁量の観点から述べたものであり、政治的作用と非政治的作用とが質的に異なるとの見地に基づくなかなくても、成立する意見である。
したがって、問題文の見地に基づく意見とはいえない。
3.問題文の見地に基づいてない。
本肢の意見は、政治的作用と非政治的作用とが質的に異なるか否かの観点から述べたものではなく「政治的行為」の範囲の確定を人事院にゆだねることは、憲法が予定する立法の委任の範囲を超えているか否かという観点から述べられたものであり、問題文の見地に基づく意見とはいえない。
4.問題文の見地に基づいてない。
本肢の意見は、問題文同様の合憲的な意見だが国会のコントロールが及んでいる機関によってなされていることをその理由としており、政治的作用と非政治的作用とが質的に異なるとの観点から述べたものではなく、問題文の見地に基づく意見とはいえない。
5.問題文の見地に基づく。
本問柱文の見地とは、政治的作用は、国会による民主的統制を必要とするのに対し、非政治的作用は、政治的中立な立場で遂行されるべきであるから、必ずしも国会による民主的統制を必要としないというものであるところ、この見地に立てば、国会による民主統制の及ばない人事院に政治的行為の範囲の確定を委ねても合憲となる(冒頭の解説参照)。
したがって、問題文の見地に基づく意見である。
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