解答 行政書士試験 平成19年46問
民法債権
問46 金銭債務の不履行については、履行不能や不完全履行の観念を入れる余地はなく履行遅滞のみが問題となると考えられているところ、民法は、「金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。」と規定している(419条1項)。それでは、この点のほか、金銭債務の特則二つを、「金銭債務の不履行の損害賠償については、」に続けて、40字程度で記述しなさい。
なお、「金銭債務の不履行の損害賠償については、」は、字数に算入しない。
解答例
「債権者は、損害の証明をする必要がなく、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。」(45字)解説
民法第419条
1 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
2 前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない
3 第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。
債務不履行があると、債権者は、損害賠償請求をすることができるが金銭債務における債務不履行では、履行不能の観念を入れる余地はなく常に履行遅滞として扱われる。
これは、お金がこの世からなくなる可能性は極めて低く、いつかはどうにかして払えるであろうから、不能にならないということであり、すなわち現代社会における金銭の極度の融通性、普遍性、万能的作用等から導かれるものである。
また、その損害賠償の額は、原則として法定利率となり、特則として債権者は、損害の証明をすることを要せず、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができないとされている。
これは、何らの手続きや証明することなく損害は認められ、且つ、遅延した言い訳は原則認めないが、仮に支払いの遅延のせいで損害賠償額が膨大になっても(例えば会社が倒産するなど)、利息のみに制限することでその調整をとる趣旨である。
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