行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成19年5問

憲法

○:4.衆議院の解散がいかなる場合に許されるかは、裁判所の判断すべき法的問題であるのに対して、これを行うために憲法上必要とされる助言と承認の手続に瑕疵があったか否かは、国家統治の基本に関する政治的な問題であるため、裁判所の審査権は及ばない。


問5

司法権の限界に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らして妥当でないものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.大学は、国公立であると私立であるとを問わず、自律的な法規範を有する特殊な部分社会を形成しているから、大学における法律上の紛争は、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、その自主的・自律的な解決にゆだねられる。

☓:2.法律が、国会の両議院によって議決を経たものとされ、適法な手続によって公布されている場合、裁判所は両院の自主性を尊重して、法律制定の際の議事手続の瑕疵について審理しその有効無効を判断するべきではない。

☓:3.政党の結社としての自主性にかんがみれば、政党の内部的自律権に属する行為は、法律に特別の定めのない限り尊重すべきであり、政党が党員に対してした処分は、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判は及ばない。

○:4.衆議院の解散がいかなる場合に許されるかは、裁判所の判断すべき法的問題であるのに対して、これを行うために憲法上必要とされる助言と承認の手続に瑕疵があったか否かは、国家統治の基本に関する政治的な問題であるため、裁判所の審査権は及ばない。

☓:5.具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争であっても、宗教上の教義に関する判断などが必要で、事柄の性質上法令の適用により解決するのに適しないものは、裁判所の審判の対象となりえない。

解説

本問は、司法審査の限界についてであるが、同様の問題は平成9年問25でも出題されている。また、これら判例は個別でも頻出の判例でもあるのでしっかり抑えておきたい。
司法審査の範囲・限界について、簡単に分けると以下のようになる。
項目理由具体例
憲法の例外憲法が定めているから対象にならない。議員の資格争訟の裁判
裁判官の弾劾裁判
自律権論自律権を尊重して対象にならない。議院の議事手続に関する争訟
国務大臣の任免に関する争訟
裁量行為論国会・内閣の政治的なもので自由裁量に属するから対象にならない。立法行為についての争訟
統治行為論国家統治に関する高度に政治性を有する行為であるから対象にならない。条約締結に関する争訟
衆議院解散に関する争訟
部分社会の法理市民社会と区別された自律的な団体内部に関する行為だから対象にならない。大学内の争訟
政党内の争訟
事件性具体的争訟が無い又は終局的に解決できないから対象にならない。宗教教義についての争訟
事件無しの確認訴訟
1.妥当である。
「大学は、国公立であると私立であるとを問わず、学生の教育と学術の研究とを目的とする教育研究施設であつて、その設置目的を達成するために必要な諸事項については、法令に格別の規定がない場合でも、学則等によりこれを規定し、実施することのできる自律的、包括的な権能を有し、一般市民社会とは異なる特殊な部分社会を形成しているのであるから、このような特殊な部分社会である大学における法律上の係争のすべてが当然に裁判所の司法審査の対象になるものではなく、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題は右司法審査の対象から除かれるべきものであることは、叙上説示の点に照らし、明らかというべきである。・・・中略・・・単位授与(認定)行為は、他にそれが一般市民法秩序と直接の関係を有するものであることを肯認するに足りる特段の事情のない限り、純然たる大学内部の問題として大学の自主的、自律的な判断に委ねられるべきものであって、裁判所の司法審査の対象にはならないものと解する」(最判昭和52年3月15日)
なお、当該判決は富山大学事件と呼ばれるもので、関連して専攻科修了の認定についても争われているが(別の学生が原告)、専攻科修了の認定・不認定に関する争いは司法審査の対象になるとしている(最判昭和52年3月15日)。
2.妥当である。
「国会の両議院における法律制定の議事手続については、両議院の自主性を尊重すべきであるから、裁判所が、その議事手続に関する事実を審理して当該法律の有効、無効を判断すべきではない。」(警察法改正無効事件:最大判昭和37年3月7日)
3.妥当である。
「政党の結社としての自主性にかんがみると、政党の内部自律権に属する行為は、法律に特別の定めのない限り尊重すべきであるから、政党が組織内の自律性運営として党員に対してした除名その他の処分の当否については、原則として自立的な解決に委ねるのを相当とする。・・・中略・・・除名処分が、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審査権は及ばない」(共産党袴田事件:最判昭和63年12月20日)
4.妥当でない。
「現実に行われた衆議院の解散が、その依拠する憲法の条章について適用を誤ったが故に、法律上無効であるかどうか、これを行うにつき憲法上必要とせられる内閣の助言と承認に瑕疵があったが故に無効であるかどうかのごときことは裁判所の審査権に服しないものと解すべきである。・・・中略・・・衆議院の解散は、極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為であって、かくのごとき行為について、その法律上の有効無効を審査することは司法裁判所の権限の外にありと解すべきである」(苫米地事件判決:最大判昭和35年6月8日)
5.妥当である。
「訴訟が具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争の形式をとる場合でも、信仰の対象の価値又は宗教上の教義に関する判断が訴訟の帰趨を左右する前提問題となり、訴訟の争点及び当事者の主張立件の核心となっているときには、その訴訟は実質において法令の適用による終局的解決の不可能なものであって、法律上の争訟に当たらない。」(板まんだら事件:最判昭和56年4月7日)


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