解答 行政書士試験 平成19年8問
行政総論
○:3.三つ
○:3.三つ
問8 次のア~オに挙げる行政行為のうち、私人の法律行為の法的効果を完成させる効果を有するもので、行政行為の分類上、「認可」とされるものはいくつあるか。
ア、電気事業法に基づいて経済産業大臣が行う電気事業の「許可」
イ、ガス事業法に基づいて経済産業大臣が一般ガス事業者に対して行う供給約款の「認可」
ウ、銀行法に基づいて内閣総理大臣が行う銀行どうしの合併の「認可」
エ、建築基準法に基づいて建築主事が行う建築「確認」
オ、農地法に基づいて農業委員会が行う農地の所有権移転の「許可」
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.一つ
☓:2.二つ
○:3.三つ
☓:4.四つ
☓:5.五つ
解説
ア.「特許」。
特許とは、新たに権利や地位等の法律関係を設定し特定の者に与える行為をいう。
電気ガス供給事業、バス、鉄道の運送事業といった、公益法人(公共事業)設立の許可は、国民が自由に設定し得る権利ではなく、新たに設定して与えるものであるから、講学上の特許に当たる。
イ.「認可」。
ガス事業法第17条1項は、「一般ガス事業者は、ガスの料金その他の供給条件について、経済産業省令で定めるところにより、供給約款を定め、経済産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」としている。
この認可は、一般ガス事業者と供給を受ける者との間において締結される契約について、経済産業大臣の行為(=認可)を補充することで、その法律上の効力を完成させることになるから、講学上の認可に当たる。
なお、肢アで説明のとおり、ガス事業の設立の許可自体は、特許にあたる点に注意されたい。
ウ.「認可」。
銀行法第30条1項は「銀行を全部又は一部の当事者とする合併は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」としている。
この認可は、銀行の合併契約について、内閣総理大臣の行為(=認可)を補充することで、その法律上の効力を完成させることになるから、講学上の認可に当たる。
エ.「確認」。
確認とは、特定の事実や法律関係について、判断したり確定したりする行為をいう。
建築主事が行う建築確認は、一定の建築物を工事するにあたって、その計画が建築基準法令の規定等に適合するものであるかどうかを建築主事が判断し、それを確定する行為であるから(建築基準法第6条1項)、講学上の確認に当たる。
オ.「認可」。
農地法3条1項、7項は、「農地又は採草放牧地について所有権の移転等をする場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならず、その許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。」としている。
この許可は、私人間の所有権の移転に関する契約について、農業委員会の行為(=許可)を補充することで、その法律上の効力を完成させることになるから、講学上の認可に当たる。
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