解答 行政書士試験 平成20年10問
行政総論
○:5.水道事業者である地方公共団体と利用者との給水に関わる法律関係は、水道法上、水道の使用許可処分ではなく、給水契約の締結によることとされている。
○:5.水道事業者である地方公共団体と利用者との給水に関わる法律関係は、水道法上、水道の使用許可処分ではなく、給水契約の締結によることとされている。
問10
地方公共団体による契約についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.地方公共団体による公共工事の請負契約については、入札手続などの地方自治法の規定が適用されるから、民法の請負契約の規定は適用されない。
☓:2.地方公務員の免職は行政処分であるが、地方公務員法上、その任命は、雇用契約の締結であって、行政処分によるものではないとされている。
☓:3.公営住宅の賃貸借契約については、公営住宅法及びそれに基づく条例が適用され、民法や借地借家法の規定は適用されない。
☓:4.地方公共団体による補助金交付の法律関係については、地方自治法の規定により、贈与契約の締結ではなく、長による交付決定によることとされている。
○:5.水道事業者である地方公共団体と利用者との給水に関わる法律関係は、水道法上、水道の使用許可処分ではなく、給水契約の締結によることとされている。
解説
1.妥当でない。
地方自治法では、第234条以下で公共工事の請負契約における契約の締結方法等について規定をおいているが、決してその内容は公共工事の請負契約の詳細を規律するに十分といえるものではない。
この点、地方公共団体による公共工事の請負契約は、私法上の行為であるとされているから(高松高判平成12年9月28日)、その不十分な部分については、原則として民法の請負契約の規定(民法第634~642条)が適用されると解されている。
2.妥当でない。
前半の「地方公務員の免職は行政処分である」という点は正しい。
しかし、地方公務員法には、地方公務員の任命が、雇用契約の締結であって、行政処分によるものではない旨の規定はないため、後半は誤りである。
なお、学説上は、地方公務員の任命は契約であるとする見解も存在するが、通説は、行政処分であり、行政講学上における行政行為の特許と解している。
3. 妥当でない。
公営住宅の使用関係については、公営住宅法及び関係条例が優先して適用されるが、民法及び借家法(借地借家法)の適用を排除しているわけではなく、公営住宅法及びこれに基づく条例に特別の定めがない限り、原則として一般法である民法及び借家法(借地借家法)が適用される(最判昭和59年12月13日)。
4. 妥当でない。
地方公共団体の補助金交付の法的性質や手続きに関しては、地方自治法に明文の規定はなく(地方自治法第232条の2参照)、通常は、自治体の条例・規則・要綱に基づいて、交付決定されている。
また、通説及び下級審判例では、地方公共団体が地方自治法第232条の2に基づいて行う補助は、行政処分的性質を付与する特段の法的規制が加えられていない限り、原則として私法上の贈与に類するものであり、補助金交付決定は、私法上の申込みに対する承諾と同視し得るから、行政処分に該当しないとしている(名古屋地判昭和59年12月26日)。
したがって、本肢は、地方自治法に規定がないという点、通説及び下級審判例では、原則として私法上の贈与契約の締結と解している点、長による交付決定とは限らない点で誤りとなる。
なお、国の補助金の交付については、補助金適正化法に手続き等が規定されており、法的性質は処分とされている。
5.妥当である。
給水に関する契約では、差別的取り扱いの禁止をするなど、通常の私法上の契約と異にする部分は有るが、その本質は私法上の契約と同じと解されており、水道法第15条1項では「水道事業者は、事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならない。」としている。
したがって、「水道事業者である地方公共団体と利用者との給水に関わる法律関係は、水道法上、・・・給水契約の締結によることとされている。」というのは正しい。
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