行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成20年16問

行政事件訴訟法

○:5.不作為の違法確認訴訟自体には出訴期間の定めはないが、その訴訟係属中に、行政庁が何らかの処分を行った場合、当該訴訟は訴えの利益がなくなり却下される。


問16

不作為の違法確認訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.不作為の違法確認訴訟は、処分の相手方以外の者でも、不作為の違法の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者であれば、提起することができる。

☓:2.不作為の違法確認訴訟を提起するときは、対象となる処分の義務付け訴訟も併合して提起しなければならない。

☓:3.不作為の違法確認訴訟は、行政庁において一定の処分を行わないことが行政庁の義務に違反することの確認を求める公法上の当事者訴訟である。

☓:4.平成16年の行政事件訴訟法の改正によって義務付け訴訟が法定されたのと同時に、不作為の違法確認訴訟の対象も、申請を前提としない規制権限の不行使にまで拡大された。

○:5.不作為の違法確認訴訟自体には出訴期間の定めはないが、その訴訟係属中に、行政庁が何らかの処分を行った場合、当該訴訟は訴えの利益がなくなり却下される。

解説

1.誤り。
不作為の違法確認の訴えは、処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起することができる(行政事件訴訟法第37条)。
したがって、「不作為の違法の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者であれば、提起することができる。」としているのは誤りである。
2.誤り。
不作為の違法確認の訴えに義務付け訴訟と併合して提起することができるだけであって、単独で提起することもできる。
なお、逆に申請の不作為について、義務付けの訴えを提起する場合は、不作為の違法確認の訴えを併合提起することを要する(行政事件訴訟法第37条の3第3項1号)。
3.誤り。
不作為の違法確認の訴えは、抗告訴訟の一種であって(行政事件訴訟法第3条5項)、公法上の当事者訴訟ではない(行政事件訴訟法第4条)。
4.誤り。
不作為の違法確認の訴えとは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟である(行政事件訴訟法第3条5項)。
本肢で言う「申請を前提としない規制権限の不行使」については、義務付けの訴えを単独で提起することになる。
なお、肢2との混乱をさけるべく、以下表で義務付けの訴えの構造のイメージを掴んでほしい。
類型要件対応訴訟
非申請型
行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき義務付けの訴えを単独で提起
申請型不作為型申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされないとき義務付けの訴えと不作為の違法確認の訴えを併合提起
処分拒否型申請又は審査請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決がされ、それが取り消されるべきものであり、又は無効若しくは不存在であるとき義務付けの訴えと取消訴訟又は無効等確認の訴えを併合提起
5.正しい。
不作為の違法確認訴訟では、申請に対して相当の期間内に処分が行われないときに、違法と判断されるものであり、ここで言う「相当の期間」には提起後から判決までの期間も不作為が続いていれば裁判所は、それを含めて「相当の期間」が経過しているかで判断がされる。
そのため、行政庁が何らかの処分を行った場合、当該訴訟は訴えの利益がなくなり却下されることになる。
また、こういった性質から「違法判断の基準時」は取消訴訟が処分時であるのに対し、不作為の違法確認訴訟や義務付け訴訟では、判決時(事実審の口頭弁論終結時)となる点も覚えておきたい。
なお、行政庁が何らかの処分を行って却下された場合、形式的には原告敗訴であるが実質的には原告勝訴であるため、訴訟費用は被告の負担となり、そのほかに損害があれば「不作為の違法確認の訴え」→「国家賠償請求訴訟」に訴えの変更をする事も可能である。


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