行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成20年22問

地方自治法

○:2.市町村議会議員選挙を無効とする旨の都道府県選挙管理委員会の裁決に不服があるときは、当該議会は、この裁決について出訴することができる。


問22

地方自治法の定める裁判所への出訴に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.市町村の境界に関する争論について都道府県知事が行った裁定に不服があるときは、関係市町村は、境界の確定について出訴することができる。

○:2.市町村議会議員選挙を無効とする旨の都道府県選挙管理委員会の裁決に不服があるときは、当該議会は、この裁決について出訴することができる。

☓:3.都道府県知事が所定の期限内に法定受託事務に関する是正勧告に係る事項を行わないときは、各大臣は、この不作為について出訴することができる。

☓:4.都道府県が担当する事務に関する国の是正の要求について国地方係争処理委員会が行った審査の結果に不服があるときは、当該都道府県の知事は、この是正の要求について出訴することができる。

☓:5.市町村議会における条例制定の議決についての都道府県知事による裁定の結果に不服があるときは、当該市町村の議会又は長は、この裁定について出訴することができる。

解説

1.正しい。
市町村の境界に関し争論がある場合において、都道府県知事が調停又は裁定に適しないと認めてその旨を通知したときは、関係市町村は、裁判所に市町村の境界の確定の訴を提起することができる(地方自治法第9条8項)。
2.誤り。
民衆訴訟及び機関訴訟は、法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起できる訴訟である(行政事件訴訟法第42条)。
本肢は議会が出訴する以上は、原則的には機関訴訟に分類されることになるが、公職選挙法に基づく選挙無効訴訟は本来、民衆訴訟の代表例である。
この点、通常認められている機関訴訟では、本問の肢1・3・4・5の機関訴訟の規定にあるように、具体的に出訴できる機関(大臣・知事・市町村など)が規定されており、公職選挙法で提起できる者とされる「不服がある者」に議会が含まれるという解釈をした判例は見当たらない。
また、そもそも選挙無効訴訟の根拠法は公職選挙法であるから、問題本文の「地方自治法の定める」という前提においても誤っている。
3.正しい。
各大臣は、勧告に係る事項を行わないときは、指示することができ(地方自治法第245条の8第2項)、それでも当該事項を行わないときは、高等裁判所に対し、訴えをもって、当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判を請求することができる(地方自治法第245条の8第3項)。
なお、本肢の結論として出訴ができるという点を重視すれば、趣旨としては正しいといえるが、厳密に言えば本肢はその過程の要件である「指示」が抜けているので、誤りではないか?という疑義が生じる。
つまり、法定受託事務に関する是正勧告に係る事項を知事が行わない場合において、大臣が出訴するには出訴前に指示が必要となり(地方自治法第245条の8第2項)、それに従わないときにはじめて出訴できるのである(地方自治法第245条の8第3項)。
細かい点ではあるものの、同じ平成20年度の問43の問題文では、「法定受託事務については、その是正を指示した上で、それに従わなければ、裁判を経て、代執行等をすることができる。」と本肢に関する事が書かれており、同じ試験問題の中で「その是正を指示した上で、それに従わなければ、」と述べているのにもかかわらず、その部分が抜けている本肢を正しい肢であると貫いたのには疑問が残るところである。
4.正しい。
都道府県が担当する事務に関する国の是正の要求について国地方係争処理委員会が行った審査の結果に不服があるときは、当該都道府県の知事は、この是正の要求について出訴することができる(地方自治法第251条の5第1項1号)。
5.正しい。
市町村議会における条例制定の議決についての都道府県知事による裁定の結果に不服があるときは、当該市町村の議会又は長は、この裁定について出訴することができる(地方自治法第176条7項)。


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