解答 行政書士試験 平成20年23問
地方自治法
○:2.行政財産の目的外使用の許可については、当該財産の目的に鑑みて支障がない場合であっても、管理者はその許可を拒否することができる。
○:2.行政財産の目的外使用の許可については、当該財産の目的に鑑みて支障がない場合であっても、管理者はその許可を拒否することができる。
問23
普通地方公共団体の財務に関する次の記述のうち、法令または最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.公共用財産については、それが長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、黙示的に公用が廃止されたものとみなしうる場合であっても、取得時効の成立は認められない。
○:2.行政財産の目的外使用の許可については、当該財産の目的に鑑みて支障がない場合であっても、管理者はその許可を拒否することができる。
☓:3.地方公共団体は、指名競争入札に参加させようとする者を指名する際に、その者が地元の経済の活性化に寄与するか否かを考慮に入れてはならない。
☓:4.地方公共団体の議会があらかじめ承認を与えたときでも、当該地方公共団体は、その財産を適正な対価なくして譲渡することはできない。
☓:5.金銭の給付を目的とする地方公共団体の権利は、時効に関し地方自治法以外の法律に特別の定めがある場合を除くほか、時効により消滅することはない。
解説
1.妥当でない。
公共用財産の黙示的な公用廃止した場合の取得時効の可否について判例は、公共用財産としての形態、機能を全く喪失するなど、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には、黙示的に公用が廃止されたものとして、取得時効の成立を妨げないとしている(最判昭和51年12月24日)。
2.妥当である。
公立学校の学校施設の目的外使用を許可するか否かは、原則として、管理者の裁量にゆだねられており、学校教育上支障がない場合であっても、行政財産である学校施設の目的及び用途と当該使用の目的、態様等との関係に配慮した合理的な裁量判断により許可をしないこともできる。
しかし、その判断が、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合には、裁量権の逸脱又は濫用として違法となる(最判平成18年2月7日)。
3.妥当でない。
「地方公共団体が、指名競争入札に参加させようとする者を指名するに当たり、【1】工事現場等への距離が近く現場に関する知識等を有していることから契約の確実な履行が期待できることや、【2】地元の経済の活性化にも寄与することなどを考慮し、地元企業を優先する指名を行うことについては、その合理性を肯定することができるものの、【1】又は【2】の観点からは村内業者と同様の条件を満たす村外業者もあり得るのであり、価格の有利性確保(競争性の低下防止)の観点を考慮すれば、考慮すべき他の諸事情にかかわらず、およそ村内業者では対応できない工事以外の工事は村内業者のみを指名するという運用について、常に合理性があり裁量権の範囲内であるということはできない。」(最判平成18年10月26日)
4.妥当でない。
地方公共団体の議会があらかじめ承認を与えたときは、当該地方公共団体は、その財産を適正な対価なくして譲渡することができる(地方自治法第237条2項)。
5.妥当でない。
金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利は、時効に関し他の法律に定めがあるものを除くほか、五年間これを行なわないときは、時効により消滅する。普通地方公共団体に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする(地方自治法第236条1項)。
なお、5年で消滅するのが原則ではあるが、判例では、消滅時効を主張して未支給の被爆者の健康管理手当の支給義務を免れようとすることは、信義則に反し許されないとして、5年を経過した未支給分についての支払い認めたものがる(最判平成19年2月6日)。
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