行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成20年25問

地方自治法

○:3.市が中核市の指定の申出をしようとするときには、当該市は、あらかじめ議会の議決を経て、都道府県の同意を得なければならない。


問25

地方自治法の規定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.都道府県は、指定都市の市長から要請があった場合には、都道府県の事務の一部又は全部を指定都市に移譲しなければならない。

☓:2.指定都市が市長の権限に属する事務を分掌させるために条例で設ける区を、特別区という。

○:3.市が中核市の指定の申出をしようとするときには、当該市は、あらかじめ議会の議決を経て、都道府県の同意を得なければならない。

☓:4.中核市は、特例市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる。

☓:5.地方自治法が定める一定の人口要件を下回った市は、町または村となる。

解説

1.誤り。
指定都市は、地方自治法第252条の19第1項各号で掲げる都道府県の事務の一部又は全部を政令で定めるところにより、処理することができ、これらは指定都市からの要請をしなくても移譲される(地方自治法第252条の19第1項)。
また、地方自治法第252条の19第1項各号で掲げてない事務については、市町村の長は、その議会の議決を経て、都道府県知事に対し、その権限に属する事務の一部(全部は要請できできない)を当該市町村が処理することとするよう要請することができるが(地方自治法第252条の17の2第3項)、要請があったときは、都道府県知事は、速やかに、当該市町村の長と協議しなければならないのであって、「移譲しなければならない。」わけではない(地方自治法第252条の17の2第4項)。
本肢は、あまり深く意味を考えずに読むともっともらしくも見えるが、都道府県の事務の全部を指定都市に移譲してしまえば、都道府県の事務が全て無くなるということであるから、現実に照らして考えればおかしい説明である事が分かるであろう。
2.誤り。
指定都市は、市長の権限に属する事務を分掌させるため、条例で、その区域を分けて区を設けることができるが(地方自治法第252条の20)、これは一般に行政区と呼ばれており、特別区とは言わない。
特別区とは、東京都の23区のことであり、特別地方公共団体の一つである(地方自治法第252の20第1項、281条1項)。
3.正しい。
市が中核市の指定の申出をしようとするときには、当該市は、あらかじめ議会の議決を経て、都道府県の同意を得なければならない(地方自治法第252条の24)。
4.誤り。
中核市は、指定都市が処理することができる事務のうち、都道府県がその区域にわたり一体的に処理することが中核市が処理することに比して効率的な事務その他の中核市において処理することが適当でない事務以外の事務で政令で定めるものを、処理することができる(地方自治法第252条の22)。
したがって、「特例市」ではなく「指定都市」である。
なお、地方自治法上の大都市における人口要件は、指定都市が50万人以上(地方自治法第252条の19)、中核市が20万人以上(地方自治法第252条の22)である。
出題当時は「特例市」が存在していたが、特例市制度は平成26年の改正法で中核市制度に統合することに伴い廃止されることになった。
5.誤り。
市となるべき普通地方公共団体は、人口5万人以上を有することが、その要件となっている(地方自治法第8条1項)。
しかし、この要件は維持する必要はなく、市となった後に5万人を割っても市から町になるわけではない。
例えば、全国の市で一番人口の少ない北海道歌志内市では5000人を割っている(2013年12月現在)。
なお、地方自治法では町となるべき普通地方公共団体の要件は条例で定めるとしており、人口の数についても規定されていない(地方自治法第8条2項)。
各地方公共団体の条例では、千葉県では人口5千人以上、奈良では8千人以上、佐賀県では7千人以上を町の要件としており、人口の数を含めたその要件は地方公共団体ごとに異なる。
また、村についての要件に関する規定はないが、おのずと市及び町になる要件を満たしていなくてもなれる普通地方公共団体が、村ということになる。


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