行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成20年28問

民法総則

○:3.Aがこの売買契約の追認を拒絶した後に死亡した場合、BがAを単独相続したとしても無権代理行為は有効にはならない。


問28

Aの子Bが、Aに無断でAの代理人としてA所有の土地をCに売却する契約を結んだ。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.CはAが追認した後であっても、この売買契約を取り消すことができる。

☓:2.Bが未成年者である場合、Aがこの売買契約の追認を拒絶したならば、CはBに対して履行の請求をすることはできるが、損害賠償の請求をすることはできない。

○:3.Aがこの売買契約の追認を拒絶した後に死亡した場合、BがAを単独相続したとしても無権代理行為は有効にはならない。

☓:4.Aが追認または追認拒絶をしないまま死亡してBがAを相続した場合、共同相続人の有無にかかわらず、この売買契約は当然に有効となる。

☓:5.Cが相当の期間を定めてこの売買契約を追認するかどうかをAに対して回答するよう催告したが、Aからは期間中に回答がなかった場合、Aは追認を拒絶したものと推定される。

解説

1.妥当でない。
代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、善意の相手方は取り消すことができる(民法第115条)。
しかし、本人が、無権代理行為を追認すると、契約の時にさかのぼって確定的に有効となるため(民法第116条)、相手方は当該売買契約を取り消すことはできなくなる。
したがって、CはAが追認した後は、この売買契約を取り消すことができない。
2.妥当でない。
他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明することができず、かつ、本人の追認を得ることができなかったときは、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う(民法第117条1項)。
しかし、相手が悪意である場合若しくは有過失で知らない場合又は無権代理人が制限行為能力者である場合は請求ができない(民法第117条2項)。
したがって、Cは、未成年者B(制限行為能力者)に対して履行の請求も損害賠償の請求もすることはできない。
3.妥当である。
本人が生前に追認を拒絶した場合、その時点で本人に無権代理の効力が及ばない事が確定するため、その後に無権代理人が単独で相続しても無権代理行為は有効とはならない(最判平成10年7月17日)。
したがって、BがAを単独相続したとしても無権代理行為は有効にはならない。
4.妥当でない。
無権代理人が本人を単独相続した場合においては、自らした無権代理行為につき本人の資格において追認を拒絶する余地を認めるのは信義則に反するから、無権代理行為は相続と共に当然有効となる(最判昭和37年4月20日)。
しかし、共同相続人がいる場合、共同相続人全員が共同で追認しないかぎり、無権代理人の相続分に相当する部分も含めて、当然に有効とはならない。
なお、他の共同相続人全員が無権代理行為の追認をするとしている場合に無権代理人が追認を拒絶することは信義則上許されない(最判平成5年1月21日)。
5.妥当でない。
相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなされる(民法第114条)。
したがって、Aは追認を拒絶したものと「みなされる」のであって、「推定される」にとどまるものではない。
みなされる
(看做される)ある事物と、元来性質を異にする他の事物とを、一定の法律関係において同一視し、当該他の事物について生じる法律効果を、その事物について生じさせる場合に用いる。
絶対的に同一視するため反対証拠をあげても覆すことはできない。
推定されるある事実について、当事者間に取決めがない場合または反対の証拠が挙がらない場合に、法が一応こうであろうという判断を下して、そのような取扱いをする場合に用いる。
そうではない事実の判明や反対証拠によって、くつがえるという点で「みなされる」と異なる。


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