行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成20年36問

商法会社法

○:4.甲会社の株券を保有しているDは、自己の債権者であるEに、売掛債権の担保としてその株券を略式質として提供したいと申し出た。Eは、甲会社の株主ではないが、Dの保有する株券が喪失株券でないことを確認するために、営業時間内であれば、いつでも甲会社の株券喪失登録簿を閲覧することができる。


問36

株式会社の株主等の閲覧権に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、甲株式会社(以下、甲会社という)は、会社法上の公開会社とする。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.単独株主Aは、甲会社の株式を市場において1000株取得した時点で、甲会社の株主構成を知りたいと考えた。Aは、営業時間内であれば、いつでも甲会社の株主名簿を閲覧することができる。

☓:2.甲会社の債権者Bは、甲会社からの債権放棄の要請に対して、甲会社の取締役等の責任追及をしたいと考えている。Bは、責任追及のための情報を得るために、営業時間内であれば、いつでも甲会社の取締役会議事録を閲覧することができる。

☓:3.単独株主Cは、甲会社が会社の事業とは無関係な美術品を高額で取得したことは、会社財産を著しく減少させ、甲会社に多大な損害を被らせるおそれがあると考えている。Cは、そのことを裏付けるために、営業時間内であれば甲会社の会計帳簿を閲覧することができる。

○:4.甲会社の株券を保有しているDは、自己の債権者であるEに、売掛債権の担保としてその株券を略式質として提供したいと申し出た。Eは、甲会社の株主ではないが、Dの保有する株券が喪失株券でないことを確認するために、営業時間内であれば、いつでも甲会社の株券喪失登録簿を閲覧することができる。

☓:5.単独株主Fは、甲会社の経営が一気に悪化した原因が、甲会社に対する親会社の経営支配によるものであると考えている。Fは、この事実関係を確認するために、裁判所の許可を得て、当該親会社の取締役会議事録を閲覧することができる。

解説

1.誤り。
株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、株主名簿の閲覧又は謄写の請求をできる(会社法第125条2項1号)。
しかし、株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない(会社法第130条)。
したがって、Aは、甲会社の株式を市場において取得した時点では、甲会社の株主名簿を閲覧することはできない。
なお、請求者がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったときや請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるときなど一定の事由に該当する場合は、拒む事も可能である(会社法第125条3項)。
2.誤り。
取締役会設置会社の債権者は、役員又は執行役の責任を追及するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該取締役会設置会社の議事録等について閲覧又は謄写の請求をすることができる(会社法第371条4項)。
したがって、Bの取締役会議事録の閲覧請求するにあたっては、「営業時間内であれば、いつでも」できるわけではなく裁判所の許可を得る必要がある(会社法第371条4項)。
3.誤り。
会計帳簿を閲覧又は謄写の請求ができるのは、原則として議決権の百分の三以上の議決権を有する株主又は発行済株式の百分の三以上の数の株式を有する株主である(会社法第433条1項1号)。
したがって、単独株主Cは、甲会社の会計帳簿を閲覧することはできない。
なお、1単元でも権利行使可能な株主権を単独株主権と呼び、本肢のように議決権の一定割合以上又は一定数以上の株式数を有する株主に与えられている株主権を少数株主権と呼ぶ。
4.正しい。
何人も、株券発行会社の営業時間内は、いつでも、株券喪失登録簿(利害関係がある部分に限る。)について、閲覧又は謄写の請求をすることができる。
なお、この場合、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない(会社法第231条2項)。
5.誤り。
株主は、その権利を行使するため必要があるときは、株式会社の営業時間内は、いつでも、議事録等の閲覧又は謄写の請求できる(会社法第371条2項)。
また、債権者及び親会社社員(親会社株主)は、役員又は執行役の責任を追及するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、閲覧を請求する事も可能である(会社法第371条4項、5項)。
しかし、子会社の株主が親会社に対して議事録等の閲覧を請求する事はできない。


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