行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成20年37問

商法会社法

○:2.ア・オ


問37 会社法上の公開会社であって取締役会設置会社の代表取締役の権限に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア、取締役会は3ヶ月に1回以上招集しなければならないが、その招集権者を代表取締役とすることができる。
イ、取締役の職務の執行が法令および定款に適合するための体制(いわゆる内部統制システム)の整備については、代表取締役が決定する。
ウ、代表取締役は、会社の業務に関する一切の裁判上の権限を有するため、取締役の義務違反により会社に損害が生じた場合に、当該取締役に対する責任追及のための訴訟を提起する。
エ、代表取締役は、取締役会決議に基づいて、代表権の一部を他の取締役に委譲することができる。
オ、取締役会は、法定事項や重要な業務執行について決定権限を有するが、それ以外については、代表取締役に、業務執行の決定を委任することができる。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.ア・ウ

○:2.ア・オ

☓:3.イ・オ

☓:4.イ・エ

☓:5.ウ・エ

解説

ア.正しい。
取締役は、三箇月に一回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならないため、三箇月に一回以上の取締役会の招集及び開催が必要となる(会社法第363条2項)。
また、取締役会は、原則的には各取締役が招集するものであるが、取締役会を招集する取締役を定款又は取締役会で定めることができるので、招集権者を代表取締役にすることもできる(会社法第366条1項)。
イ.誤り。
取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備については取締役会が決定するものであり、代表取締役を含め、取締役へ委任する事はできない(会社法第362条4項6号)。
ウ.誤り。
代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有するが(会社法第349条4項)、公開している取締役会設置会社(※委員会設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならず(会社法第327条2項)、監査役設置会社が当該訴えをする場合は、監査役が当該会社を代表することになる(会社法第386条1項)。
したがって、代表取締役の権限として、当該訴えについて、提起することはできない。
なお、監査役設置会社でないケースを想定しても、株式会社が取締役に対し、又は取締役が株式会社に対して訴えを提起する場合には、株主総会は、当該訴えについて株式会社を代表する者を定めることができ(会社法第353条)、株主総会が当該訴えについて、代表者を定めていない場合、取締役会は会社を代表する者を定めることができるため(会社法第364条)、必ずしも代表取締役が代表者となるわけではない。
※委員会設置会社の場合は、監査委員会が選定する監査委員又は取締役会が定める者が代表することになるが(会社法408条1項2項)、委員会設置会社では、そもそも代表取締役は存在しないため(代表執行役がそれに代わって存在する)、本問では委員会設置会社について検討することを要しない(会社法第415条参照)。
エ.誤り。
代表取締役の代表権の一部を他の取締役に委譲することの是非について、明示的な規定は存在しないが、会社法第349条4項では「代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。」とし、同条5項では「前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない」としていることから、代表取締役の権限は包括的、且つ、不可制限的なものとされている。
であるならば、たとえ取締役会決議に基づいたとしても、代表取締役の代表権の一部を他の取締役に委譲することはできないと解されることになろう。
オ.正しい。
取締役会は、会社法第362条4項に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することはできないが、それ以外については代表取締役に、業務執行の決定を委任することができる。


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