解答 行政書士試験 平成20年47問
一般知識
問47
近代の政治思想に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.イギリスの法律家コーク(クック)は、「国王はいかなる人の下にも立たないが、神と法の下にある」というブラクトンの言葉を引いて、王権神授説を信奉する国王を諌め、これが「法の支配」の確立につながった。
☓:2.イギリスの哲学者ホッブズは、『リヴァイアサン』において、人間は自然状態では「万人の万人に対する闘争」が生じるため、絶対権力者の存在を認めなければならないとし、社会契約説を否定した。
☓:3.イギリスの政治思想家ロックは、『市民政府二論』において、自然権を保障するため人びとは契約を結び国家をつくると考え、政府が自然権を守らないとき人民は抵抗権をもつとし、イギリス名誉革命を擁護した。
☓:4.フランスの啓蒙思想家ルソーは、『社会契約論』において、人間が社会契約によって国家をつくってからも真に自由で平等であるためには、全体の利益をめざす全人民の一般意思による統治を主張し、フランス革命に影響を与えた。
☓:5.フランスの啓蒙思想家モンテスキューは、『法の精神』において、各国の政治体制を比較しながら、自由と権力の均衡の重要性を説き、立法・執行・司法を異なる機関に担当させる三権分立制を提唱して、近代民主政治に大きな影響を与えた。
解説
1.妥当である。
サー・エドワード・コーク(Sir Edward Coke)は、「法の支配」という憲法原理を確立し、英国法の発展に大きく貢献した法律家の一人である。
2.妥当でない。
トマス・ホッブズ(Thomas Hobbes)は、イングランドの哲学者で、「リヴァイアサン」を執筆しているが、社会契約説を唱えた人物であり、否定はしていない。
3.妥当である。
ジョン・ロック(John Locke)はイギリスの哲学者で、「市民政府二論」において自然権を保障するため人びとは契約を結び国家をつくると考え、政府が国民の意向に反して生命、財産や自由を奪うことがあれば人民は抵抗権をもって政府を変更することができるとした。抵抗権の考え方はのちにヴァージニア権利章典に受け継がれることになる。
4.妥当である。
ジャン=ジャック・ルソー(Jean-Jacques Rousseau)は、フランスの啓蒙思想家で社会契約論をはじめ、多感さを反映した著作は広く読まれ、フランス革命や以降の社会思想にも多大な影響を及ぼした。
5.妥当である。
シャルル=ルイ・ド・モンテスキュー(Charles-Louis de Montesquieu)は、フランスの啓蒙思想家で、著作『法の精神』で、権力を立法・行政・司法に分割する三権分立論を唱え、近代民主政治に大きな影響を与えた。
この問題の成績
まだ、データがありません。