行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成20年54問

一般知識

○:4.行政機関個人情報保護法に基づく訂正請求は、その前に開示請求を行わなければならないが、個人情報保護法に基づく訂正の求めの場合には、開示の求めを前置することは要件ではない。


問54 個人情報保護法*1と行政機関個人情報保護法*2とを比較した次の記述のうち、妥当なものはどれか。

(注)
*1、個人情報の保護に関する法律
*2、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律
正解:4

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.個人情報の定義について、個人情報保護法における「個人情報」は死者を含まないが、行政機関個人情報保護法における「個人情報」は死者を含む概念である、と定められている。

☓:2.行政機関個人情報保護法にいう「個人情報ファイル」とは、保有個人情報を含む情報の集合物で体系性、検索性のあるもののことをいい、これは個人情報保護法にいう「保有個人データ」という概念にほぼ等しい。

☓:3.行政機関個人情報保護法では、法人が個人と同様に自己を本人とする情報の開示・訂正等を請求することはできないが、民間部門を対象とする個人情報保護法ではこれが認められている。

○:4.行政機関個人情報保護法に基づく訂正請求は、その前に開示請求を行わなければならないが、個人情報保護法に基づく訂正の求めの場合には、開示の求めを前置することは要件ではない。

☓:5.開示決定等についての不服申立て案件に関して、行政機関個人情報保護法は情報公開・個人情報保護審査会への、個人情報保護法は認定個人情報保護団体への諮問を予定している。

解説

1.妥当でない。
個人情報保護法この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。
行政機関個人情報保護法この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。
両法の「個人情報」はどちらも、「生存する個人に関する情報」としており、死者を含まない概念である(個人情報保護法第2条1項、行政機関個人情報保護法第2条2項)。
なお、両規定では、照合の容易性という点に差異が設けられているが、その趣旨は、行政機関が保有する個人情報では、より厳格な個人情報保護が必要であるから、容易性を要件とすることなく、保護される個人情報の範囲を広くする必要があるのに対し、民間の場合には営業の自由への配慮から個人情報をある程度限定することが必要であると考えられたからである。
2.妥当でない。
行政機関個人情報保護法にいう「個人情報ファイル」とは、保有個人情報を含む情報の集合物で体系性、検索性のあるもののことをいうが(行政機関個人情報保護法第2条4項)、これは個人情報保護法にいう個人情報データベース等」という概念にほぼ等しい(個人情報保護法第2条2項)。
したがって、「個人情報保護法にいう「保有個人データ」という概念にほぼ等しい。」としている点は誤りである。
なお、個人情報保護法にいう「保有個人データ」とは、個人情報取扱事業者が、開示、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有する個人データであって、その存否が明らかになることにより公益その他の利益が害されるものとして政令で定めるもの又は一年以内の政令で定める期間以内に消去することとなるもの以外のものをいう(個人情報保護法第2条5項)。
3.妥当でない。
両法での保護の対象は、「個人」であって「法人」の情報については保護の対象とされていない(肢1で掲載の規定を参照)。
したがって、法人が自己を本人とする情報の開示・訂正等を請求することはできない。
4.妥当である。
行政機関個人情報保護法では、訂正要求の対象となるのは、開示決定に係る保有個人情報であって、開示を受けたものに限られるが(行政機関個人情報保護法第27条)、個人情報保護法に基づく訂正の求めの場合には、開示の求めを前置することは要件ではない(個人情報保護法第26条参照)。
5.妥当でない。
開示決定等についての不服申立て案件に関して、行政機関個人情報保護法は開示決定等について行政不服審査法による不服申立てがあったときは、当該不服申立てに対する裁決又は決定をすべき行政機関の長は、原則として、情報公開・個人情報保護審査会に諮問しなければならず、諮問を予定しているといえる(行政機関個人情報保護法第42条)。
一方、個人情報保護法では、不服申立てに関する規定はおいてないため(個人情報保護法第25条1項参照)、「個人情報保護法は認定個人情報保護団体への諮問を予定している。」という点は、誤りである。
なお、認定個人情報保護団体は、諮問機関ではなく、個人情報の取り扱いに関する苦情の処理等をする団体である(個人情報保護法第42条)。


この問題の成績

  • まだ、データがありません。


  • 試験過去問題の使い方

    平成30年までの行政書士試験問題の過去問を掲載しています。

    問題の解答ボタンの順番が、毎回ランダムで移動するので正解番号を覚えてしまうことを防止できます

    過去問ドリル使い方

    法令、一般知識のほか、法令につては(基礎法学、憲法<総論、人権、統治、財政>、行政法<行政手続法行政指導、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法>、民法<総則、物件、担保物件、債権>、商法、会社法、)などジャンルから選択するか、試験出題年度を選択してください。

    問題文章の後に選択肢が表示されるので、文章をタッチして解答してください

    解答画面では、過去6ヶ月間の解答について、履歴を表示するとともに、ユーザー全体の正解率を表示します。


    過去問を使った学習のヒント

    行政書士試験の本番時間は、3時間(180分) 法令46問、一般知識14問の合計60問が出題されます。

    1問あたり3分180秒で解答すれば間に合う計算になります。しかし、実際には、記述はもちろん、多肢選択、一般知識の文章読解問題は長い問題文を読んでいるだけで3分以上かかる場合もあるので180秒より速く解答する必要があります

    重要!毎日三時間用意する

    1問あたり100秒で解く(おおよそ半分の時間で一周できます)

    じゃあ残った時間は何をするのか?→解答を見る前に必ず見直すようにしてください。(回答時に自信がある問題、ない問題の目印をつけておくなど)


    過去問ドリルに取り組む前に

    一通りテキストを読み込んでから取り組みましょう。

    どの年度でもいいので初回60問といて、94点未満以下の場合はもう一度テキストを読み込む作業に戻りましょう

    300点満点中の180点取れれば合格ですので、目安として94点以上であれば、本格的に過去問ドリルに取り組んでみてください。