行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成20年60問

一般知識 文章理解

○:3.イ・エ・オ・カ


問60 次の文章の空欄[ア]~[キ]には「シゼン」か「ジネン」が入るが、「シゼン」が入るものの組合せとして、正しいものはどれか。

日本の人々にとって自然とは、客観的な、あるいは人間の外にある自然体系のことではなかった。それは自分自身が還っていく場所でもあり、自然に帰りたいという祈りをとおしてつかみとられていくものでもあった。
  とすると、その自然とはどのようなものであったのか。
  すでによく知られているように、かつての日本では自然はジネンと発音されていた。シゼンという発音が一般的になったのは、明治時代の後半に入ってからである。英語のネイチャー、フランス語のナチュールを日本語にするためにシゼンが使われるようになった。その意味でシゼンは外米語の訳語である。
  ジネンはオノズカラ、あるいはオノズカラシカリという意味の言葉である。今日でも私たちは「自然にそうなった」とか「自然の成り行き」という表現を使うが、これがジネンと読んでいた時代の意味の名残りだと思えばよい。(中略)
  もっとも、このようにみていくと、[ア]という言葉を[イ]と読んだうえで、ネイチャーやナチュールの訳語にしたのはかなり妥当だったということがわかる。なぜならもっとも[ウ]なものは自然([エ])だからである。自然([オ])はすべてがオノズカラのなかに存在している。シゼンとジネンは同じではないが、シゼンこそがジネンなのである。
  ゆえにジネンな生き方ができる自己に戻りたいという気持を、シゼンに戻りたいと表現しても差しつかえない。人々はジネンに帰ることによって、シゼンに帰りたかったのである。(中略)
  ところが社会が近代化していくと、人々は自然(シゼン)を自然(シゼン)としてみるようになっていった。自然(シゼン)は人間から分離し、自然(シゼン)という客観的な体系になっていった。
  この変化が、1960年代に入ると、最終的に、村のなかでもおこっていたのではないかとある人々は考える。戦後の経済社会は、農地を客観的な生産の場へと、森林を客観的な林業の場へと変えていった。水や川は客観的な水資源になった。こういう変化が村でもおこっていた。
  [カ]のなかに[キ]をみなくなったとき、そして自分たちの帰りたい「祈り」の世界をみなくなったとき、自然と人間の関係は変容した。
(出典 内山節「日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか」より)

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.ア・イ・オ・カ・キ

☓:2.ア・エ・オ・カ

○:3.イ・エ・オ・カ

☓:4.イ・エ・キ

☓:5.エ・カ・キ

解説

[ア]と[イ]について
本文では「日本では自然はジネンと発音されていた。」「英語のネイチャー、フランス語のナチュールを日本語にするためにシゼンが使われるようになった。」となっているため、「[ア]という言葉を[イ]と読んだうえで、ネイチャーやナチュールの訳語にしたのはかなり妥当だった」の[ア]と[イ]にはそれぞれジネンとシゼンが入る事が分かる。
[カ]と[キ]について
本文では「[カ]のなかに[キ]をみなくなったとき、そして自分たちの帰りたい」となっていおり、[カ]には現在一般に使われている読み方がはいることがわかる。すなわち、[カ]にはシゼンが入る。
この時点で[キ]には残された方のジネンが入ると判断がつくであろうし、また、本文中の「ジネンはオノズカラ、あるいはオノズカラシカリという意味の言葉である。」からも[キ]にジネンが入ると判断がつく。


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