行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成21年37問

商法会社法

○:3.株主総会は株主が議決権を行使するための重要な機会であるため、本人が議決権を行使する場合のほか、代理人による議決権行使の機会が保障されているが、会社法上の公開会社であっても、当該代理人の資格を株主に制限する旨を定款に定めることができる。


問37

株式会社の定款に関する次の記述のうち、会社法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.会社設立時に株式会社が発行する株式数は、会社法上の公開会社の場合には、発行可能株式総数の4分の1を下回ることができないため、定款作成時に発行可能株式総数を定めておかなければならないが、会社法上の公開会社でない会社の場合には、発行株式数について制限がなく、発行可能株式総数の定めを置かなくてよい。

☓:2.株式会社は株券を発行するか否かを定款で定めることができるが、会社法は、株券を発行しないことを原則としているので、株券を発行する旨を定款に定めた会社であっても、会社は、株主から株券の発行を請求された段階で初めて株券を発行すれば足りる。

○:3.株主総会は株主が議決権を行使するための重要な機会であるため、本人が議決権を行使する場合のほか、代理人による議決権行使の機会が保障されているが、会社法上の公開会社であっても、当該代理人の資格を株主に制限する旨を定款に定めることができる。

☓:4.取締役会は、取締役が相互の協議や意見交換を通じて意思決定を行う場であるため、本来は現実の会議を開くことが必要であるが、定款の定めにより、取締役の全員が書面により提案に同意した場合には、これに異議を唱える者は他にありえないため、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなすことができる。

☓:5.取締役会設置会社は監査役を選任しなければならないが、会社法上の公開会社でない取締役会設置会社の場合には、会計監査人設置会社であっても、定款で、監査役の監査権限を会計監査に限定することができる。

解説

1.妥当でない。
会社設立時に株式会社が発行する株式数は、会社法上の公開会社の場合には、発行可能株式総数の4分の1を下回ることができない点は正しい(会社法第37条3項)。しかし、定款作成時に発行可能株式総数を定めておく必要はなく、公開会社も非公開会社も発行可能株式総数を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない(会社法第37条1項)。
なお、発行可能株式総数は定款における絶対的記載事項であり、定款を変更して発行可能株式総数についての定めを廃止することはできない(会社法第113条1項)。
2.妥当でない。
会社法214条では「株式会社は、その株式に係る株券を発行する旨を定款で定めることができる。」と相対的記載事項となっており、株券不発行が原則となっている。また、株券を発行する旨を定款に定めた場合であっても、公開会社でない株券発行会社は、株主から請求がある時までは、これらの規定の株券を発行しないことができる(会社法第215条4項)。しかし、公開会社である株券発行会社は、株式を発行した日以後遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければならない(会社法第215条1項)。
したがって、本肢は単に「会社」とし、非公開会社と公開会社を区分けせずに、「株主から株券の発行を請求された段階で初めて株券を発行すれば足りる。」としているので誤りである。
なお、株券不発行を原則とした背景は、決済の迅速化、紛失・盗難リスクの削減、券面の管理や受渡しなどにかかるコストの削減を図るためのもので、特にその要請の強い上場会社については、「株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律」により現在は全て株券不発行会社となっている。
3.妥当である。
株主は、代理人によってその議決権を行使することができるが(会社法第310 条1項)、代理人を株主に制限する旨の定款の規定は、株主総会が、株主以外の第三者によって攪乱されることを防止し、会社の利益を保護する趣旨に出たものとし認められ、合理的理由による相当程度の制限ということができるから有効である(最判昭和43年11月1日)。
4.妥当でない。
取締役会設置会社は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき取締役(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる(会社法第370条)。
したがって、本肢は概ね正しい内容ではあるが、 監査役設置会社にあっては、監査役が当該提案について異議を述べることができるため、「これに異議を唱える者は他にありえない」という点が誤っている。
5.妥当でない。
公開会社でない株式会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く。)は、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる(会社法第389条1項)。
したがって、会計監査人設置会社は、定款で、監査役の監査権限を会計監査に限定することはできない。


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