解答 行政書士試験 平成21年40問
商法会社法
○:2.取締役の辞任により員数が欠けた場合、当該取締役は、直ちに取締役としての地位を失うのではなく、新たな取締役が就任するまでの間は、引き続き取締役としての権利義務を有する。
○:2.取締役の辞任により員数が欠けた場合、当該取締役は、直ちに取締役としての地位を失うのではなく、新たな取締役が就任するまでの間は、引き続き取締役としての権利義務を有する。
問40
取締役の選任および解任に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.すべての株式会社は、定款において、取締役の資格として当該株式会社の株主である旨を定めることができる。
○:2.取締役の辞任により員数が欠けた場合、当該取締役は、直ちに取締役としての地位を失うのではなく、新たな取締役が就任するまでの間は、引き続き取締役としての権利義務を有する。
☓:3.解任された取締役であっても、正当な事由がなく解任された場合には、新たな取締役が就任するまでの間は、当該取締役は引き続き取締役としての権利義務を有する。
☓:4.利害関係人の申立により裁判所が一時取締役を選任した場合、当該一時取締役が株式会社の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可が必要である。
☓:5.取締役が法令もしくは定款に違反する行為をし、当該行為によって株式会社に著しい損害が生じるおそれがある場合には、株主は直ちに当該取締役の解任の訴えを提起することができる。
解説
1.誤り。
株式会社は、取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができない。ただし、公開会社でない株式会社においては、この限りでない(会社法第331条2項)。
したがって、取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができるのは非公開会社に限られており、「すべての株式会社」ができるわけではない。
2.正しい。
役員が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する(会社法第346条1項)。
3.誤り。
肢2で解説の通り、会社法第346条1項によって、新たに選任された役員が就任するまで、なお権利義務を有するのは、任期の満了又は辞任により退任した役員の場合であって、解任のときには適用されない。
役員は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができるため(会社法第339条1項)、解任の場合は、取締役としての権利義務は直ちに失われる。
なお、解任された取締役は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる(会社法第339条2項)。
4.誤り。
役員が欠けた場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時役員の職務を行うべき者を選任することができるが(会社法第346条2項)、選任された一時取締役は、通常の取締役と比較して特に行為が限定されることはないため、常務に属しない行為をするのに裁判所の許可は必要でない。
なお、取締役等の選任決議についての不存在・無効確認・取消しの訴え等に関連して、民事保全法に基づく仮処分命令によって取締役又は代表取締役の職務代行者が選任されることがあるが、この場合の職務代行者は仮処分命令に別段の定めがある場合を除き、株式会社の常務に属しない行為(例えば事業譲渡など)をするには、裁判所の許可を得ることが必要である(会社法第352条1項、民事保全法第56条)。
5.誤り。
役員の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、当該役員を解任する旨の議案が株主総会において否決されたとき又は当該役員を解任する旨の株主総会の決議の効力を生じないときは、一定の株主は、当該株主総会の日から三十日以内に、訴えをもって当該役員の解任を請求することができる(会社法第854条1項)。
したがって、全ての株主が対象ではなく、要件として総株主の議決権の百分の三以上の議決権を六箇月以上保有等の一定の株主が対象であり、また、「直ち」に当該取締役の解任の訴えを提起することはできない。
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