行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成21年44問

行政法


問44 Xは、外務大臣に対して旅券の発給を申請したが拒否処分をうけたため、取消訴訟を提起した。これについて、裁判所は、旅券法により義務づけられた理由の提示が不充分であるとして、請求を認容する判決をなし、これが確定した。この場合、行政事件訴訟法によれば、外務大臣は、判決のどのような効力により、どのような対応を義務づけられるか。40字程度で記述しなさい。

解答例

正解例1:「拘束力により、十分な理由を付して、何らかの処分をやりなおさなければならない。」(38字)

解説

本問では、まず大分して【1】「どのような効力により」【2】「どのような対応を義務づけられるか。」と2つのことが問われている。
【1】「どのような効力により」
既判力判決が確定すると、当事者および裁判所を拘束し、同一事項について確定判決と矛盾する主張・判断をすることができなくなる効力。
形成力取消判決によって、処分・裁決の効力は、行政庁が取り消すまでもなく、遡って消滅し、初めから当該処分や裁決はなかったことになる効力。
拘束力行政庁は、取消判決に拘束され判決の趣旨に従って行動しなければならないという行政庁への実体法上の義務を課す効力。
このうち、対応を義務づける効力は「拘束力」となる。
【2】「どのような対応を義務づけられるか。」
大臣が具体的に取れる対応としては、(1)「十分な理由を付して拒否処分」、(2)「申請許可処分をして、旅券の発給」の二つとなる。
大臣は、いずれの対応も可能であり、どれか一つが義務付けられるわけではないため、解答はこの二つを書くか、又はこの二つをまとめて書くことになる。
余談
【2】の部分については、合格道場を含めて解答速報を出したほとんどのところは行政事件訴訟法第33条に沿って「判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。」としていたが、後の検証によってこの書き方ではほとんど点数をつけてないことが明らかになっている。
同問は、市販の模試等で類似問題及び解答が掲載されていたこともあり、かなりこの解答(又はこれに近い解答)を書いている受験生がいたため、事前に予想していた自己採点より大幅に下がる受験生が続出となった。
私見ではあるが、このような試験センターの採点は、甚だ疑問の残るところである。
模範解答例の内容でも減点しないという扱いであれば問題ないが、条文に沿った解答に対して模範解答と同等の点数をつけないというのは、具体的に書かなければならないところと、不確定概念を用いて書かなければならないところが、センター側の主観が入り込みすぎて統一感がないように思う。
行政書士試験では、記述の採点方法で、合格率を調整していると揶揄されることもあるが、平成21年度は、択一の高得点者が多かったことを踏まえると、本問に関してはそのように勘ぐられても仕方のない採点方法に感じる。


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