解答 行政書士試験 平成21年46問
民法物権
問46 次の【設問】を読み、【答え】の中の〔 〕に適切な文章を40字程度で記述して、設問に関する解答を完成させなさい。
【設問】
XはA所有の甲建物を購入したが未だ移転登記は行っていない。現在甲建物にはAからこの建物を借り受けたYが居住しているが、A・Y間の賃貸借契約は既に解除されている。XはYに対して建物の明け渡しを求めることができるか。
【答え】
XはYに対して登記なくして自らが所有者であることを主張し、明け渡しを求めることができる。民法177条の規定によれば「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」とあるところ、判例によれば、同規定中の〔 〕をいうものと解されている。ところが本件事案では、Yについて、これに該当するとは認められないからである。
解答例
「第三者とは、当事者もしくは包括承継人以外で、かつ登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者 」(44 字)解説
本問における【設問】【答え】の題材の判例は、不法占有者は民法第177条にいう「第三者」に該当せず、これに対しては登記がなくても所有権の取得を対抗し得る(最判昭和25年12月19日)というものだが、本問自体では、民法第177条における第三者の定義とは何かが問われている。
それを定義した判決の原文は「第三者トハ当事者若クハ其包括承継人ニ非スシテ不動産ニ関スル物権ノ得喪及ヒ変更ノ登記欠缺ヲ主張スル正当ノ利益ヲ有スル者」(大連判明治41年12月15日)となっている。
したがって、問題文に出てくる「不動産に関する物権の得喪及び変更」をはずして判例に沿って書くことになる。
この問題の成績
まだ、データがありません。