行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成21年47問

一般知識

○:5.エ・オ


問47 日本の選挙制度に関する次のア~オの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

ア、一般に小選挙区制は、政治が安定しやすいという長所がある反面、小政党の議席獲得が難しく、死票が多いという問題点が指摘されている。
イ、一般に比例代表制は、有権者の意思を公正に反映できるという長所がある反面、小党分立になり、政治が不安定になりやすいという問題点が指摘されている。
ウ、衆議院議員選挙では、小選挙区比例代表並立制がとられ、重複立候補が認められているが、小選挙区での得票順位と当落が逆転するなどの問題点があったため、重複立候補の場合の比例区での当選の要件を厳しくした。
エ、参議院議員選挙では、都道府県を単位とする選挙区選挙と比例代表制選挙がとられており、比例代表制選挙では各政党の得票数によって議席数を決め、各政党が作成した名簿上の順位によって当選者を決めることとされている。
オ、最高裁判所は、一票の価値について最大4倍以上の格差があった衆議院議員選挙について、憲法の法の下の平等に反して憲法違反であるとし、一部選挙区の選挙を無効とした。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.ア・ウ

☓:2.イ・エ

☓:3.ウ・エ

☓:4.ウ・オ

○:5.エ・オ

解説

ア.正しい。
小選挙区制は一選挙区から一人の議員を選出する制度であるから、大規模政党が有利となり、その結果として二大政党制を実現しやすい。また、大規模政党が有利であるというのは政治が安定しやすいということにも繋がる。
一方、欠点としては死票が多くでるため、国民の意思が政治に反映されにくく、また、議員定数が多い場合には、必然的に選挙区の数も多くなり、一票の格差が生じやすい。
イ.正しい。
比例代表制では死票が少ないため、有権者の意思を議席に反映しやすくなるが、その反面、小政党も議席確保が可能なため、小政党の乱立にもつながり、政局の不安定を招きやすい欠点がある。
ウ.正しい。
日本の衆議院議員選挙では、小選挙区制と比例代表制の2つを並行して行う小選挙区比例代表並立制がとられている。
「選挙区選挙」と「比例区選挙」の2つがある点は、参議院選挙と共通するが、衆議院総選挙では「並立制」、すなわち小選挙区制と比例代表制がシンクロしているという違いがある。そのため、衆議院総選挙では参議院選挙と異なり候補者が重複して立候補することが認められており、小選挙区で落選したのに比例代表で当選するという復活当選が認められている。
もっとも、小選挙区における得票率があまりに低い候補者についてまで、「復活当選」を認めるのは、民意を無視しているとの批判を受けて、2000年の公職選挙法の改正により小選挙区で供託金没収点未満(有効得票総数の10分の1未満)の得票だった候補者の「復活当選」は認めないとし、その当選要件が厳しくなっている。
なお、選挙における供託金とは出馬する際に納める金銭で(衆議院小選挙区は300万円)、有効投票総数に対して一定票(供託金没収点)に達しない場合は没収される。
エ.誤り。
参議院議員選挙では、都道府県を単位とする選挙区選挙と比例代表制選挙がとられており、このうち比例代表制選挙では非拘束名簿式比例代表制を採用している。
本肢における「比例代表制選挙では各政党の得票数によって議席数を決め、各政党が作成した名簿上の順位によって当選者を決める」というのは、衆議院議員選挙で採用されている拘束式名簿方式の比例代表制である。
なお、参議院議員選挙で採用している非拘束名簿式比例代表制とは、あらかじめ政党によって順位をつけずに候補者名簿を作成し、選挙人は政党名又は個人名を書いて投票するものである。そして、政党名と個人名の得票を合算したうえでドント式により各政党の議席数が決定される。また、政党内の個人の当選順位は個人名の得票順に決定される。
オ.誤り。
最高裁判所は、選挙当時において、投票の価値の較差が最大約一対四・四〇に拡大するに至ったことは、憲法の選挙権の平等の要求に反し、選挙全体として違法となるとしたが、事情判決の法理により選挙自体は無効としないとした(最大判昭和60年7月17日)。


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