解答 行政書士試験 平成21年56問
一般知識
○:4.「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」は、不正アクセス行為およびコンピュータウイルスの作成行為等を禁止し、それらに対する罰則を定めている。
○:4.「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」は、不正アクセス行為およびコンピュータウイルスの作成行為等を禁止し、それらに対する罰則を定めている。
問56
情報通信に関する諸法律についての次の記述のうち、誤っているものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」は、近年改正され、あらかじめ同意した者に対してのみ広告宣伝メールの送信を認める方式(いわゆる「オプトイン」方式)を導入した。
☓:2.プロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)は、インターネット上の情報流通によって権利侵害を受けたとする者が、プロバイダ等に対し、発信者情報の開示を請求できる権利を定めている。
☓:3.e-文書通則法(民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律)は、民間事業者等が書面に代えて電磁的記録による保存、作成、縦覧、交付を行うことができるようにするための規定を置いている。
○:4.「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」は、不正アクセス行為およびコンピュータウイルスの作成行為等を禁止し、それらに対する罰則を定めている。
☓:5.電子消費者契約法(電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律)は、インターネットを用いた契約などにおける消費者の操作ミスによる錯誤について、消費者保護の観点から民法の原則を修正する規定を置いている。
解説
1.正しい。
「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」は、平成20年に改正され、原則としてあらかじめ同意した者にしか広告宣伝メールの送信ができない方式(いわゆる「オプトイン」方式)を導入している(特定電子メール法第3条1項1号)。
なお、本問における「あらかじめ同意した者に対してのみ」という表現は、総務省IT用語辞典をはじめ総務省のHP内ではいずれもオプトイン方式の説明としてこのような表現をしているため、オプトイン方式の説明としては妥当である。
一方で、見方によっては改正した特定電子メール法では、「あらかじめ同意した者」以外には一切特定電子メールが送れないようにも読み取れるが、特定電子メール法第3条1項2号以下では取引関係にある者など同意がなくても特定電子メールを送れる者についても定めているため、若干配慮に欠けた問題文にも映る。
2.正しい。
プロバイダ責任制限法第4条では、インターネット上の情報流通によって権利侵害を受けたとする者が、プロバイダ等に対し、発信者情報の開示を請求できる権利を定めている。
3.正しい。
e-文書通則法によって、民間事業者等が書面に代えて電磁的記録による保存(同法第3条)、作成(同法第4条)、縦覧(同法第5条)、交付(同法第6条)を行うことができる。
4.誤り。
「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」には、コンピュータウイルスの作成行為等の禁止については定めていない。
なお、コンピュータウイルスの作成行為の罰については明確にされておらず、これまで、著作権法違反等で対応したケースはあるが、事実上は無法地帯であり、法の欠缺が起きている。
この点、2002年のサイバー犯罪条約の批准に伴って「ウイルス作成罪法案」(正式法案名:不正指令電磁的記録に関する罪)が2004年の国会にて法案提出されたもののいまだに継続審議中で成立していない。
もっとも、ウイルスを散布し他人に損害を与えた場合は、電子計算機損壊等業務妨害罪の他、偽計業務妨害罪、器物損壊罪、電磁的記録毀棄罪、信用毀損罪、業務妨害罪等の規定が適用される可能性がある。
5.正しい。
電子消費者契約法第3条では、インターネットを用いた契約などにおける消費者の操作ミスによる錯誤について、消費者保護の観点から民法の原則を修正する規定を置いている。
これはいわゆるワンクリック詐欺(クリックしただけで「○万円支払え!」という詐欺サイト)等に対応するための規定で、民法第95条但書(錯誤)の「表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。」について「消費者が送信時に当該契約の申込み又はその承諾の意思表示を行う意思がなかったとき」又は「消費者が送信時に当該契約の申込み又はその承諾の意思表示と異なる内容の意思表示を行う意思があったとき」には適用されないとするものである。
もっとも、逆に当該規定を消費者側が悪用することがないようにその消費者の申込み又はその承諾の意思表示を行う意思の有無について確認を求める措置を講じている場合(例えば「本当に有料で良いですか?」ともう一度大きく表示させるなどの措置)には、電子消費者契約法第3条は適用されないことになっている。
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