行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成21年9問

行政総論

○:1.一つ


問9 行政機関に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア、行政庁とは、行政主体の意思を決定し、これを外部に表示する権限を有する行政機関をいう。
イ、国家行政組織法には行政庁は独任制でなければならないとの規定があり、わが国には合議制の行政庁は存在しない。
ウ、上級行政庁は下級行政庁に対して監視権や取消権などの指揮監督権を有するが、訓令権については認められていない。
エ、行政庁がその権限の一部を他の行政機関に委任した場合であっても、権限の所在自体は、委任した行政庁から受任機関には移らない。
オ、法定の事実の発生に基づいて、法律上当然に行政機関の間に代理関係の生ずる場合を、授権代理という。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

○:1.一つ

☓:2.二つ

☓:3.三つ

☓:4.四つ

☓:5.五つ

解説

ア.正しい。
行政庁とは、行政主体の法律上の意思を決定し、これを外部に表示する権限を有する機関であり、その例としては、各省大臣、都道府県知事、市町村長等がある。
イ.誤り。
肢1の例からも分かるように行政庁は独任制であることが多いが、国家行政組織法を含めた現行法に行政庁は独任制でなければならないとの規定は存在せず、実際にも公正取引委員会、教育委員会、人事院、会計検査院等の合議制の行政庁が存在する。
ウ.誤り。
上級行政庁は、下級行政庁に対して指揮監督権を有し、その具体的なものとしては、監視権(監視するために、調査や報告させる権利)、訓令権(訓令を発する権利)、取消停止権(違法・不当な行為を取消し、停止する権利)、許認可権(あらかじめ権限行使について許認可を求めるように要求する権利)などが挙げられる。訓令とは、上級行政庁が下級行政庁に対し、事前に発する命令のことであり、これを文書化したものを通達という。また、訓令権(又は取消停止権)によって、違法又は不当な行為の取消しを要求することができ、更に要求のみならず取消権自体も有するというのが多数説である。なお、訓令・通達は、内部的な職務命令である行政規則に分類され、国民や裁判所を拘束するものではないことに注意されたい。
エ.誤り。
権限の委任とは、行政庁が自己に属する権限の一部(全部委任はできない)を他の機関に委譲して、その受任した行政機関の権限として行わせることをいう。権限の委任をすると、権限の所在は移動し、委任庁はその権限を失い、受任庁は自己の責任の下に自己の名で権限を行使する。ただし、委任庁が上級行政庁である場合は、上級行政庁としての指揮監督権を失うわけではないので、その権限について指揮監督権を行使することは可能である。
オ.誤り。
権限の代理とは、行政権の全部又は一部を他の行政機関が代わって行う事であるが、大別すると法定代理と授権代理に分けられる。法定代理は、行政庁が欠けたとき又は事故があったときなど、一定の事実の発生について、法定の定めに基づき、その補助機関等の他の行政機関が当然に代行することである。一方、授権代理とは、本来の行政庁が他の機関に対し自己に代理してその権限の「一部」を行う権能を与えることである。したがって、本肢の説明は法定代理についてである。


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