解答 行政書士試験 平成22年25問
行政法
○:4.懲戒に付せられるべき事件が、刑事裁判所に係属する間においても、人事院又は人事院の承認を経て任命権者は、同一事件について、適宜に、懲戒手続を進めることができる。
○:4.懲戒に付せられるべき事件が、刑事裁判所に係属する間においても、人事院又は人事院の承認を経て任命権者は、同一事件について、適宜に、懲戒手続を進めることができる。
問25
国家公務員法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.懲戒処分の要件としては、「人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合」や「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」などがある。
☓:2.懲戒処分は、行政手続法上の不利益処分に関する手続を経た上で、任命権者の上申を経て、内閣がこれを行う。
☓:3.職員は、公務員としての身分が保障されているので、定員の改廃等によって廃職又は過員が生じたとしても、そのことを理由として免職されることはない。
○:4.懲戒に付せられるべき事件が、刑事裁判所に係属する間においても、人事院又は人事院の承認を経て任命権者は、同一事件について、適宜に、懲戒手続を進めることができる。
☓:5.懲戒処分として停職が命じられた場合、停職処分を受けた公務員は、停職期間中、公務員としての身分を失うが、停職期間終了後、復職を命ぜられることによって、公務員としての身分を回復する。
解説
1.誤り。
本肢の「人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合」や「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」というのは、降任又は免職事由である(国家公務員法第78条)。
この点、懲戒処分にも、最も重い処分として、免職はあるが(懲戒免職)、78条に基づいてされる免職は、懲罰的な目的でされるものではなく、公務の効率性を保つことを目的として行なわれる分限処分であり(分限免職)、退職金の支給等その扱いは、懲戒免職と区分けがされている。
したがって、懲戒処分の要件ではない。
なお、懲戒処分事由としては、「国家公務員法等に違反した場合」、「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」 及び「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」がある(国家公務員法第82条1項)。
2.誤り。
公務員の懲戒処分には、行政手続法は適用されない(行政手続法第3条1項9号)。また、懲戒処分は、任命権者が行うものであり(国家公務員法第84条)、内閣が行なうものではない。
3.誤り。
「官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」は、肢1と同様に、分限処分として、人事院規則の定めるところにより、職員の意に反して、これを降任し、又は免職することができる(国家公務員法第78条4号)。
4.正しい。
懲戒に付せらるべき事件が、刑事裁判所に係属する間においても、人事院又は人事院の承認を経て任命権者は、同一事件について、適宜に、懲戒手続を進めることができる。また、国家公務員法による懲戒処分は、当該職員が、同一又は関連の事件に関し、重ねて刑事上の訴追を受けることを妨げない(国家公務員法第85条)。
なお、当該規定に対しては、憲法第39条の二重の処罰を禁止に抵触しないかという問題がおきうるが、懲戒処分は任命権者の懲戒権に基づいた行政の内部的な処分であり、国家の一般的統治権に基づき公共の秩序維持のために科する刑罰とは目的が異なっているため、懲戒処分と刑罰を併科しても問題ないと解されている。
5.誤り。
停職者は、職員としての身分を保有するが、その職務に従事しない(国家公務員法第83条2項前段)。
したがって、公務員は、停職期間中、公務員としての身分を失わない。
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