行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成22年34問

民法親族

○:3.Bは、Aと離婚した後250日を経てCを出産したが、Aは、離婚の1年以上前から刑務所に収容されていた場合において、Aは、Cとの父子関係を争うためには嫡出否認の訴えによらなければならない。


問34

A男と、B女が出産したCとの関係に関する次の記述のうち、民法の規定または判例に照らし、誤っているものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.AとBの内縁関係の継続中にBがCを出産し、AによってCを嫡出子とする出生届がなされた場合において、誤ってこれが受理されたときは、この届出により認知としての効力が生ずる。

☓:2.Bは、Aとの内縁関係の継続中に懐胎し、その後、Aと適法に婚姻をし、婚姻成立後150日を経てCを出産した場合において、AがCとの間に父子関係が存在しないことを争うには、嫡出否認の訴えではなく、親子関係不存在確認の訴えによらなければならない。

○:3.Bは、Aと離婚した後250日を経てCを出産したが、Aは、離婚の1年以上前から刑務所に収容されていた場合において、Aは、Cとの父子関係を争うためには嫡出否認の訴えによらなければならない。

☓:4.Aによる嫡出否認の訴えは、AがCの出生を知った時から1年以内に提起しなければならないが、Aが成年被後見人である場合には、この期間は後見開始の審判の取消しがあった後にAがCの出生を知った時から起算する。

☓:5.Aが嫡出否認の訴えを提起する場合において、Cが幼少で意思能力を有せず、かつ、Bがすでに死亡しているときには、Cの未成年後見人がいるときであっても、家庭裁判所が選任した特別代理人を相手方とする。

解説

1.正しい。
「嫡出でない子につき、父から、これを嫡出子とする出生届がされ、又は嫡出でない子としての出生届がされた場合において、右各出生届が戸籍事務管掌者によって受理されたときは、その各届は、認知届としての効力を有する。」(最判昭和53年2月24日)
なお、混同しやすい以下の判例もあわせて覚えておきたい。
「養子縁組届は法定の届出によって効力を生ずるものであり、嫡出子出生届をもって養子縁組届とみなすことは許されないと解すべきである」(最判昭和50年4月8日)
2.正しい。
婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定されるところ(民法第772条2項)、親子関係を否定する訴えには、推定される嫡出子についての嫡出否認の訴え(民法第775条)と推定されない嫡出子についての親子関係不存在確認の訴え(人事訴訟法第2条2号)がある。
本肢は、内縁関係の継続中に懐胎し、その後、婚姻をし、婚姻成立後150日を経てCを出産しているが、民法第772条2項にいう「婚姻の成立の日」とは、婚姻の届出の日であるため(挙式や内縁開始の日ではない)、Cは推定されない嫡出子であり(最判昭和41年2月15日、大連判昭和15年1月23日)、その場合に父が父子関係が存在しないことを争うには、親子関係不存在確認の訴えによることになる(大判昭和15年9月20日)。
したがって、AがCとの間に父子関係が存在しないことを争うには、親子関係不存在確認の訴えによらなければならない。
なお、嫡出否認の訴えができるのは、夫のみで出生を知ってから1年以内に提起しなければならないが、親子関係不存在確認の訴えは確認の利益が認められれば誰からでも、いつでも提起できる。
3.誤り。
肢2で説明の通り、夫が親子関係を否定する訴えには、推定される嫡出子についての「嫡出否認の訴え」と推定されない嫡出子についての「親子関係不存在確認の訴え」がある。
妻が婚姻成立の日から200日後に出産した子は夫の子と推定されるのが原則であり、本来は、嫡出否認の訴えによることになるが、事実上の離婚をして別居していたり(最判昭和44年5月29日)、夫が戦争で長期間出征していたり(最判平10年8月31日)、というように夫が子の懐胎時に性交渉不可能などの状況がある場合、出産した子は夫の子と推定されず、親子関係不存在確認の訴えをすることができる。
したがって、本肢では、「Aは、離婚の1年以上前から刑務所に収容」されているので、親子関係不存在確認の訴えをすることができる。
4.正しい。
嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から一年以内に提起しなければならないが(民法第777条)、夫が成年被後見人であるときは、当該期間は、後見開始の審判の取消しがあった後夫が子の出生を知った時から起算する(民法第778条)。
したがって、後見開始の審判の取消しがあった後にAがCの出生を知った時から起算する。
5.正しい。
嫡出否認の訴えは、子又は親権を行う母に対して行うが、親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない(民法第775条)。
したがって、未成年後見人がいるときであっても、家庭裁判所が選任した特別代理人を相手方とすることになる。


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