行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成22年38問

商法会社法

○:4.ウ・エ


問38 新株予約権に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア、新株予約権と引換えに金銭の払込みを要する募集新株予約権を発行する場合において、募集新株予約権の割当てを受けた者は、払込期間中または払込期日に払込金額の全額を払い込んだときに、新株予約権者となる。
イ、募集新株予約権の行使に際して出資する金銭その他の財産の価額が新株予約権を引き受ける者に特に有利な金額であるときには、募集新株予約権の募集事項は、株主総会の特別決議により決定しなければならない。
ウ、募集新株予約権の発行が法令もしくは定款に違反し、または著しく不公正な方法により行われる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときには、株主は、会社に対して募集新株予約権の発行をやめることを請求することができる。
エ、新株予約権付社債を有する者は、新株予約権付社債についての社債が消滅した場合を除いて、新株予約権付社債に付された新株予約権のみを譲渡することはできない。
オ、新株予約権と引換えに金銭の払込みを要する募集新株予約権の払込金額は、新株予約権が行使されるか否かにかかわらず、その全額を資本金に計上しなければならない。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.ア・イ

☓:2.ア・オ

☓:3.イ・ウ

○:4.ウ・エ

☓:5.エ・オ

解説

ア.誤り。
新株予約権とは株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利であり(会社法第2条21号)、株式会社が、新株予約権を引き受ける者の募集をしようとするときに、その募集に応じて当該新株予約権の引受けの申込みをした者に対して割り当てる新株予約権を募集新株予約権という(会社法第238条1項本文)。
募集新株予約権の割当てを受けた者は、割当日に、募集新株予約権の新株予約権者となる(会社法第245条)。
したがって、全額を払い込んだときに新株予約権者になる訳ではない。
なお、新株予約権者は、募集新株予約権についての払込期日までに(期日がなければ新株予約権の行使の前日までに)、募集新株予約権の払込金額の全額の払込みをしなければならず、それをしないときは、当該募集新株予約権を行使することができなくなる(会社法第246条)。
イ.誤り。
募集新株予約権の募集事項の決定は、それが有利発行にあたる場合は、株主総会の特別決議が必要となるが(会社法第238条2項、309条2項6号)、公正発行(非有利発行)の場合は、公開会社は、原則として取締役会の決議で足りることになる(会社法第240条1項)。
ところで、新株予約権者が、実際に権利を行使し、新株を受け取るまでの費用は、【1】「新株予約権の発行価額」と【2】「権利行使価額」に分けられるが、有利発行にあたるかどうかは、条文上、「募集新株予約権と引換えに金銭の払込みを要しないこと」(会社法第238条1項2号)又は「募集新株予約権の払込金額」(会社法第238条1項3号)が、特に有利な条件又は金額にあたるかどうか、すなわち【1】「新株予約権の発行価額」で判断するとなっている(会社法第238条3項)。
しかし、本肢は「募集新株予約権の行使に際して出資する金銭その他の財産の価額」(会社法第236条1項2号)が、特に有利な金額であるときとしており、これは【2】「権利行使価額」であって、その判断をする際の一要素にすぎず、これが有利であることをもって、即座に有利発行にあたるとはいえない。
したがって、本肢は、必ずしも「株主総会の特別決議により決定しなければならない。」とはいえない。
ウ.正しい。
募集新株予約権の発行が法令又は定款に違反する場合又は著しく不公正な方法により行われる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、株式会社に対し、募集新株予約権の発行をやめることを請求することができる(会社法第247条)。
エ.正しい。
新株予約権付社債では、原則として、新株予約権のみ又は社債のみを譲渡することはできないが、いずれかが消滅したときは、残った方を譲渡することができる(会社法第254条2項、3項)。
なお、元から単独の新株予約権者も、譲渡することができる(会社法第254条1項)。
オ.誤り。
新株予約権が行使されるまでは、その発行に伴う払込金額を、純資産の部に「新株予約権」として計上される。また、新株予約権が行使された場合は、その額は、資本金等増加限度額に算入され(会社計算規則第17条)、そこから算出された額のうち1/2までは、資本金として計上せずに、資本準備金とすることができる(会社法第445条2項、3項)。
したがって、「新株予約権が行使されるか否かにかかわらず、その全額を資本金に計上しなければならない。」とはいえない。


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