解答 行政書士試験 平成23年13問
行政手続法
○:5.審査基準・・・申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準。
○:5.審査基準・・・申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準。
問13
行政手続法の定める用語の定義についての次の記述のうち、正しいものはどれか(但し、各文章は法律の規定そのままではなく、一部表現を修正している)。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.処分・・・行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為で、審査請求・異議申立てその他不服申立てに対する裁決・決定を含むもの。
☓:2.不利益処分・・・行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又は申請を拒否する処分。
☓:3.届出・・・行政庁に対し一定の事項を通知する行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているもの。
☓:4.行政指導・・・行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定又は不特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないもの。
○:5.審査基準・・・申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準。
解説
1.誤り。
行政手続法において、処分とは行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいうが(行政手続法第2条2号)、行政手続法は、行政不服審査法による事後的な救済手続きでは手続保障が必ずしも十分ではないという考えのもとに、事前の手続きを定めるべく制定された法律であるため(行政手続法第3条15号参照)、処分の用語の定義に裁決等の事後的な裁断行為を含めるのは妥当ではない。
例えば、行政手続法第1条では「この法律は、処分・・・等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。」としているが、ここにいう「処分」には、事後的な裁断行為は含まれない。
なお、問題の趣旨、出題意図の観点からは、このような解説となるが、単純な用語の意味としては、行政手続法第3条柱書及び同条15号に出てくる「処分」には、事後的な裁断行為を含めないと意味が通らなくなるので、若干適正さに欠ける問題と言えようか。
2.誤り。
不利益処分とは、行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいうが(行政手続法第2条4号本文)、申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分は除かれる(行政手続法第2条4号ただし書き、ロ)。
3.誤り。
行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く。)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているものをいう(行政手続法第2条7号)。
また、届出は、適正な届出書が届出先機関の事務所に到達したときに、手続上の義務は履行されたことになるため、「諾否の応答をすべきこととされている」というのは届出の要件にならない。
なお、申請の場合は、「諾否の応答をすべきこととされている」というのが、要件となる(行政手続法第2条3号)。
4.誤り。
行政指導とは、行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう(行政手続法第2条6号)。
行政指導の対象者は、一人である必要はないが、特定されている必要があり、不特定多数の者を対象としたもの(例えば、政府広報など) は、本法の行政指導にはあたらない。
したがって、「又は不特定の者に」としている点が誤りである。
5.正しい。
審査基準とは、申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう(行政手続法第2条8号ロ)。
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