行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成23年16問

行政事件訴訟法

○:4.Xが収用裁決に示された損失補償の増額を求める訴訟を提起する場合については、裁決書が送達された日から法定の期間内に提起しなければならない。


問16

A県収用委員会は、起業者であるB市の申請に基づき、同市の市道の用地として、2000万円の損失補償によってX所有の土地を収用する旨の収用裁決(権利取得裁決)をなした。この場合についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.Xが土地の収用そのものを違法として争う場合には、収用裁決の取消しを求めることとなるが、この訴訟は、B市を被告とする形式的当事者訴訟となる。

☓:2.収用裁決が無効な場合には、Xは、その無効を前提として、B市を被告として土地の所有権の確認訴訟を提起できるが、この訴訟は、抗告訴訟である。

☓:3.Xが収用裁決に示された損失補償の額に不服がある場合には、A県を被告として、損失補償を増額する裁決を求める義務付け訴訟を提起すべきこととなる。

○:4.Xが収用裁決に示された損失補償の増額を求める訴訟を提起する場合については、裁決書が送達された日から法定の期間内に提起しなければならない。

☓:5.収用裁決に示された損失補償の額について、高額に過ぎるとしてB市が不服であるとしても、行政機関相互の争いで、法律上の争訟には当たらないから、B市が出訴することは許されない。

解説

1.妥当でない。
Xが土地の収用そのものを違法として争う場合には、収用裁決の取消しを求めることとなり、この訴訟は、抗告訴訟における取消訴訟となる(土地収用法第133条1項、行政事件訴訟法第3条1項)。
したがって、当該訴訟は、形式的当事者訴訟ではない。
2.妥当でない。
収用裁決が無効な場合には、Xは、その無効を前提として、B市を被告として土地の所有権の確認訴訟を提起できるが、この訴訟は、争点訴訟である(行政事件訴訟法第45条)。
したがって、当該訴訟は抗告訴訟でない。
なお、争点訴訟とは、私法上の法律関係に関する訴訟において、その前提として、行政庁の処分等の存否又はその効力の有無が争われる「民事訴訟」をいい、単純に民事事件として処理するわけにもいかないので行政事件訴訟法の規定の一部を準用するべきことが規定されている。
3.妥当でない。
Xが収用裁決に示された損失補償の額に不服がある場合には、B市を被告として形式的当事者訴訟を提起すべきこととなる(土地収用法第133条2項、3項、行政事件訴訟法第4条)。
したがって、本肢の事案では、A県を被告として、義務付け訴訟は提起できない。
なお、形式的当事者訴訟とは、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とする訴訟であり(行政事件訴訟法第4条前段)、ここにいう「法令の規定」の典型例として、土地収用法133条2項、3項では、収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴えは、これを提起した者が起業者であるときは土地所有者又は関係人を、土地所有者又は関係人であるときは起業者を、それぞれ被告としなければならない、としている。
4.妥当である。
収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴えは(=形式的当事者訴訟)、裁決書の正本の送達を受けた日から六月以内に提起しなければならない(土地収用法第133条2項)。
5.妥当でない。
肢3で説明のとおり、収用裁決に示された損失補償の額について、高額に過ぎるとしてB市が不服である場合は、土地所有者であるXを被告として提起することができる(土地収用法133条2項、3項)。


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