行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成23年2問

基礎法学

○:3.裁判官が合議制により裁判を行う場合には、最高裁判所の裁判を除いて、裁判官の意見が一致しないときであっても、少数意見を付すことはできない。


問2

わが国の裁判制度に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.わが国の裁判制度は、三審制を採用していることから、高等裁判所が第一審裁判所になることはない。

☓:2.民事訴訟または刑事訴訟のいずれであっても、第一審裁判所が簡易裁判所である場合には、控訴裁判所は地方裁判所となり、上告裁判所は高等裁判所となる。

○:3.裁判官が合議制により裁判を行う場合には、最高裁判所の裁判を除いて、裁判官の意見が一致しないときであっても、少数意見を付すことはできない。

☓:4.刑事訴訟においては、有罪判決が確定した場合であっても、あらたに証拠が発見されるなど重大な理由があるときには、有罪判決を受けた者の利益のために再審を行うことができるが、民事訴訟においては、再審の制度は認められていない。

☓:5.家庭裁判所は、家庭に関する事件の審判および調停ならびに少年保護事件の審判など、民事訴訟や刑事訴訟になじまない事件について権限を有するものとされ、訴訟事件は取り扱わない。

解説

1.妥当でない。
わが国の裁判制度では、原則として三審制が採用されており、すなわち裁判が確定するまでに上訴することができる裁判所が2階層あって、裁判の当事者が希望する場合は、原則として合計3回までの審理を受けることができる制度となっている。
そのため、第一審を管轄する裁判所は、原則的には、上訴する2階層以上が残るべく地方裁判所又は簡易裁判所となるが(裁判所法第24条、33条)、内乱の罪に係る訴訟(裁判所法第16条、刑法第77条)や裁判所法以外の法律に特別の定めがある場合(裁判所法第17条)の第一審は、高等裁判所が管轄することになっている。
したがって、「高等裁判所が第一審裁判所になることはない。」としている点は、誤りである。
なお、高等裁判所が第一審を管轄することとしている法律としては、独占禁止法第85条、特許法第178条などがあり、特に行政審判を経た場合の訴訟では、このような制度を採ることが多くなっている。
2.妥当でない。
民事訴訟では、第一審裁判所が簡易裁判所である場合には、控訴裁判所は地方裁判所となり(裁判所法第16条1号、24条3号)、上告裁判所は高等裁判所となる(裁判所法第16条3号)。
しかし、刑事訴訟では、上告裁判所は常に最高裁判所になる制度設計がされており、すなわち第一審裁判所が簡易裁判所である場合、控訴裁判所は高等裁判所となり(裁判所法第16条1号)、上告裁判所は最高裁判所となる(裁判所法第7条1号)。
したがって、民事訴訟については正しいが、「刑事訴訟のいずれであっても」としている点で誤りである。
なお、民事訴訟では、上告裁判所が高等裁判所である場合、更に最高裁判所に上告する制度があり(特別上告)、この場合は実質的に4審制となる。
3.妥当である。
裁判所法第11条では、最高裁について「裁判書には、各裁判官の意見を表示しなければならない」と規定しており、少数意見(補足意見、意見、反対意見)がある場合は、それを付すことになっている。
他方、下級裁判所については、合議体の裁判における各裁判官の意見等について、秘密を保持することが要求されているため(裁判所法第75条2項後段)、裁判官の意見が一致しないときであっても、少数意見を付すことはできない。
4.妥当でない。
刑事訴訟では、 有罪の確定判決に対して、あらたに証拠が発見されるなど一定の要件を満たす重大な理由がある場合、その言渡を受けた者の利益のために、再審をすることができる(刑事訴訟法第435条)。
また、民事訴訟の場合にも、確定した終局判決に対して、一定の要件を満たす重大な理由があるときは、再審の訴えをもって、不服を申し立てることが認められている(民事訴訟法第338条、339条、349条)
5.妥当でない。
家庭裁判所の権限には、 家事審判法で定める家庭に関する事件の審判及び調停、少年法で定める少年の保護事件の審判の他に、人事訴訟法で定める人事訴訟(離婚の訴えや嫡出否認の訴えなど)の第一審の裁判が含まれる(裁判所法第31条の3)。
したがって、「訴訟事件は取り扱わない。」とする点は誤りである。


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