解答 行政書士試験 平成23年37問
商法会社法
○:4.発起人、設立時取締役または設立時監査役が株式会社の設立にあたり任務を怠り、会社に損害を生じさせた場合には、創立総会の決議によっても、会社に対する責任を免除することはできない。
○:4.発起人、設立時取締役または設立時監査役が株式会社の設立にあたり任務を怠り、会社に損害を生じさせた場合には、創立総会の決議によっても、会社に対する責任を免除することはできない。
問37
株式会社の設立手続における創立総会に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.設立時取締役は、募集株式の払込期日または払込期間経過後、設立登記の前までに、創立総会を招集しなければならない。
☓:2.創立総会においては、株主総会で認められている書面による議決権行使や電磁的方法による議決権行使はできない。
☓:3.創立総会における普通決議は、株主総会における普通決議と同じく、定款に別段の定めがない限り、議決権の過半数を有する設立時株主が出席し、出席した設立時株主の議決権の過半数の賛成により成立する。
○:4.発起人、設立時取締役または設立時監査役が株式会社の設立にあたり任務を怠り、会社に損害を生じさせた場合には、創立総会の決議によっても、会社に対する責任を免除することはできない。
☓:5.創立総会での決議により定款が変更された場合には、当該決議に反対した設立時株主は、会社成立後において、当該株式の買取りを請求することができる。
解説
1.誤り。
募集設立の場合、発起人は、創立総会を招集しなければならない(会社法第65条1項)。
したがって、募集株式の払込期日又は払込期間経過後、設立登記の前までに、創立総会を招集しなければならないのは、『設立時取締役』ではなく、『発起人』である。
なお、発起人は、この場合においては、必要があると認めるときは、いつでも、創立総会を招集することができる(会社法第65条2項)。
2.誤り。
創立総会において会社法第75条1項は「書面による議決権の行使は、議決権行使書面に必要な事項を記載し、法務省令で定める時までに当該議決権行使書面を発起人に提出して行う」と規定し、書面による議決権行使を認めている。
また、会社法第76条1項は「電磁的方法による議決権の行使は、政令で定めるところにより、発起人の承諾を得て、法務省令で定める時までに議決権行使書面に記載すべき事項を、電磁的方法により当該発起人に提供して行う」と規定し、電磁的方法による議決権の行使を認めている。
3.誤り。
創立総会の決議は、当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した当該設立時株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う(会社法第73条1項)。
なお、この決議方法は、株主総会決議における特別決議(会社法第309条2項)と特殊決議(会社法第309条3項)に類似するが、定足数又は表決数に若干の違いがあり、創立総会独自の類型である(会社法テキスト1参照)。
4.正しい。
創立総会の決議に関する条文には、「発起人、設立時取締役または設立時監査役が会社の設立にあたり任務を怠り、会社に損害を生じさせた場合の責任(会社法第53条)」の免除を決議できる旨の規定はない(会社法第73条参照)。
したがって、当該責任は、創立総会決議で免除することはできない。
なお、当該責任は、総株主の同意があれば免除することができる(会社法第55条)。
5.誤り。
会社法第97条に「創立総会において、第28条各号に掲げる事項(変態設立事項)を変更する定款の変更の決議をした場合には、当該創立総会においてその変更に反対した設立時株主は、当該決議後2週間以内に限り、その設立時発行株式の引受けに係る意思表示を取り消すことができる」とする規定がある。
当該規定は、会社成立後の「株式買取請求(会社法第116条)」に代わるものである。
したがって、創立総会の決議後2週間内に限って株式の引き受けを取り消すことができるのであって、「会社成立後において、当該株式の買取りを請求することができる。」わけではない。
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