行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成23年46問

民法


問46 作家Yに雇用されている秘書Aは、Y名義で5万円以下のYの日用品を購入する権限しか付与されていなかったが、Yに無断でXからYのために50万円相当の事務機器を購入した。しかし、Xは、Aに事務機器を購入する権限があるものと信じて取引をし、Yに代金の支払いを請求したところ、Yはその支払いを拒絶した。このようなYの支払い拒絶を不当と考えたXは、Yに対して、支払いの請求、およびそれに代わる請求について検討した。この場合において、Xは、どのような根拠に基づき、いかなる請求をすればよいか。「Xは、Yに対して、」に続けて、考えられる請求内容を二つ、40字程度で記述しなさい。

解答例

「表見代理の成立を理由に代金支払請求か、使用者責任に基づき損害賠償請求をする。」(38字)

解説

民法第109条本文
第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。
民法第110条
前条本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。
権限外(権限踰越)の表見代理が成立するには、次の要件を満たす必要がある。
【1】基本代理権があること
【2】代理人がその権限外の行為をしたこと
【3】相手が権限があると信ずべき正当な理由があること
本問では、【3】の要件を満たしているかは設問で明らかになっていないが、とりあえず【1】と【2】は満たしているため、「Yに対して、支払いの請求」する主張としては、権限外の表見代理が妥当となる。
したがって、当該部分の解答は「表見代理の成立を理由に代金支払請求か、」となる。
「○○に基づき○○請求をする。について
民法第715条
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
使用者責任が成立するには、次の要件を満たす必要がある。
【1】使用関係が存在すること
【2】事業の執行についてなされたものであること
【3】第三者に損害を加えたこと
【4】民法第709条の不法行為の成立要件を満たすこと(不要説もあり)
【5】使用者に免責事由がないこと
本問では、【4】と【5】の要件を満たしているかは設問で明らかになっていないが、とりあえず【1】と【2】と【3】は満たしているため、「Yに対して、支払いの請求に代わる請求」としては、使用者責任が妥当となる。
特に、「家Yに雇用されている秘書A」というのが、使用者責任を導き出すためのキーマンとなるところである。
したがって、当該部分は、「使用者責任に基づき損害賠償請求をする。」となる。


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