解答 行政書士試験 平成23年52問
一般知識
○:4.1980年代後半からのバブル経済において地価が高騰したことを受けて、土地基本法が制定された。さらに、国土利用計画法に基づく監視区域の活用や、地価税の導入などが行われて、対策が進められた。
○:4.1980年代後半からのバブル経済において地価が高騰したことを受けて、土地基本法が制定された。さらに、国土利用計画法に基づく監視区域の活用や、地価税の導入などが行われて、対策が進められた。
問52
日本の土地に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
☓:1.第二次世界大戦後の宅地改革により、都市部の住宅地においては大量の小土地所有者が生み出されることとなった。しかし、農村部の農地改革は行われず、戦前以来の地主と小作人の関係が維持された。
☓:2.土地の価値を金銭評価したものとして、路線価、公示地価、不動産鑑定評価額などがある。これに対し、固定資産評価額は、建物および償却資産の評価額であり、土地の評価額を含むものではない。
☓:3.海などの公有水面を埋め立てることによって土地を拡げることができるが、埋め立ての事業主体となることができるのは、国、特殊法人など国が指定した法人、または地方公共団体に限られている。
○:4.1980年代後半からのバブル経済において地価が高騰したことを受けて、土地基本法が制定された。さらに、国土利用計画法に基づく監視区域の活用や、地価税の導入などが行われて、対策が進められた。
☓:5.土地利用の計画的コントロールのために都市計画制度が導入されている。都市化の進行により、1990年代初めには国土の全域が都市計画区域として指定された。
解説
1.妥当でない。
第二次世界大戦後に行われた土地改革は、都市部の宅地改革ではなく、農村部を中心としてなされた農地改革である。
農地改革では、地主が保有する農地は、政府が強制的に安値で買い上げ、実際に耕作していた小作人に売り渡された(結局、全国で約7割の農地が地主から小作人に所有権が移転された)。
なお、安値で買い上げられた地主が憲法29条3項に反するとして訴訟した判決が、相当補償説の根拠としてよく取り上げられる以下の判例である。
「憲法二九条三項にいうところの財産権を公共の用に供する場合の正当な補償とは、その当時の経済状態において成立することを考えられる価格に基き、合理的に算出された相当な額をいうのであって、必しも常にかかる価格と完全に一致することを要するものでない」(農地改革訴訟:最大判昭和28年12月23日)
2.妥当でない。
土地の価値を金銭評価したものとして、路線価(税務署が発表するもので、相続税等を算出する基礎となる土地評価額)、公示地価(国土庁が発表する地価公示法に基づいて定期的に評価される土地の公示価格)、不動産鑑定評価額(不動産鑑定士(補助)が鑑定した不動産の価格)、固定資産評価額(各地方公共団体が固定資産税等を徴収するために、役所の税務課にある固定資産課税台帳に登録してある土地や建物の評価額を算出した金額)などがある。
したがって、固定資産評価額には、土地の評価額が含まれる。
3.妥当でない。
公有水面埋立法では、都道府県知事の免許制の下に、海などの公有水面を埋め立てることによって土地を拡げることを認めているが(公有水面埋立法第2条)、埋め立ての事業主体の限定はされてない。
4.妥当である。
1980年代後半からのバブル経済において地価が高騰したことを受けて、国土利用に関する法律として土地基本法が制定された。
同法では、以下の4つの基本理念が掲げられている。
【1】土地についての公共の福祉の優先。
【2】適正な利用及び計画に従った利用。
【3】投機的取引の抑制。
【4】価値の増加に伴う利益に応じた適切な負担。
また、国土利用計画法に基づく監視区域の活用(都道府県が規則で定める面積以上の土地取引を行う場合、都道府県知事や政令指定都市の長に事前届出が必要となる。)や、地価税の導入などが行われて、対策が進められた。
5.妥当でない。
土地利用の計画的コントロール等のために、都市計画法等による都市計画制度が導入されているが、都市計画区域(都市計画制度上の都市の範囲)は、国土の約1/4を占めているに過ぎず、1990年代初めに国土の全域が都市計画区域として指定された事実はない。
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