解答 行政書士試験 平成23年56問
一般知識
○:1.消費者庁は、消費者安全法、特定商取引法(特定商取引に関する法律)などに基づく消費者保護関連の事務に加えて、個人情報保護の基本方針に関わる事務をつかさどっている。
○:1.消費者庁は、消費者安全法、特定商取引法(特定商取引に関する法律)などに基づく消費者保護関連の事務に加えて、個人情報保護の基本方針に関わる事務をつかさどっている。
問56
消費者保護と個人情報保護に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)
○:1.消費者庁は、消費者安全法、特定商取引法(特定商取引に関する法律)などに基づく消費者保護関連の事務に加えて、個人情報保護の基本方針に関わる事務をつかさどっている。
☓:2.消費者契約法における消費者も個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)における個人も、その利益を一方的に害する契約を締結させられた場合において、当該契約の無効を主張できる権利をそれぞれの法律上付与されている。
☓:3.個人情報保護制度は、個人と個人情報取扱事業者との間で、取り扱う個人情報の質及び量に格差が存在することをその前提とするが、消費者保護制度には、このような観点は存在しない。
☓:4.個人は、個人情報を不当に取り扱われるおそれがある場合には、適格消費者団体に倣って創設された適格個人情報保護団体を通じて差止めを求めることができる。
☓:5.消費者保護における消費者は法人及び権利能力なき社団を含むが、個人情報保護における個人は自然人を意味する。
解説
1.妥当である。
消費者庁が所管している主な法律としては、消費者安全法、特定商取引法、個人情報保護法、公益通報者保護法、割賦販売法、消費者基本法及び消費者契約法などがあり、同庁ではこれらに関わる事務をつかさどっている(消費者庁及び消費者委員会設置法第4条)。
2.妥当でない。
消費者契約法では、消費者の利益を一方的に害する契約を締結させられた場合において、当該契約の無効を主張できる旨が規定されているが(消費者契約法第10条)、個人情報保護法では、そのような規定は置かれていない。
3.妥当でない。
個人情報保護制度では、事業者による個人情報の利用が著しく拡大したことは前提になっているが(個人情報保護法第1条)、個人と事業者を比較して、取り扱う個人情報の質及び量に格差が生じたからといって必ずしも問題は生じないため、その格差が前提になっているとはいえない。
他方、消費者契約等では、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差によって、事業者の思惑次第で、消費者を誤認や困惑させた上で、契約締結させることが可能であることから、消費者保護制度では、その格差を前提に構成されている。
実際、消費者契約法の第一条(目的)では、「この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、・・・」で始まっている。
4.妥当でない。
適格消費者団体とは、消費者保護制度で導入されている団体であり、消費者全体の利益擁護のために差止請求権を適切に行使することができる適格性を備えた消費者団体として、内閣総理大臣の認定を受けたものである(消費者契約法第2条第4項)。
他方、個人情報保護制度では、認定個人情報保護団体が個人情報に関し事業者に対する苦情処理の窓口となっているが、同団体には差止請求権は付与されておらず、また、適格消費者団体に倣って適格個人情報保護団体が創設された事実もない。
5.妥当でない。
個人情報保護における個人は、「生存する個人に関する情報」(個人情報保護法第2条)とされているため、自然人を意味し、法人等の団体そのものに関する情報(例えば法人名等)は、「個人情報」に該当しない。
他方、消費者保護における消費者とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)のことであり(消費者契約法第2条1項)、法人及び権利能力なき社団は、事業者に区分けされて定義されている(消費者契約法第2条2項)。
したがって、「消費者保護における消費者は法人及び権利能力なき社団を含む」としているのは誤りである。
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