行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成23年60問

一般知識 文章理解

○:1.(ア)社会 (イ)身体 (ウ)内 (エ)外


問60 本文中の空欄[ア]~[エ]に当てはまるものの組み合わせとして、適切なものはどれか。

情緒性は、「離れてありながら他とともにある」という人間の実存のしかたを、身体としての内的な「自己」の水準と、社会的な関係性として外部化された「自己」の水準との、ちょうど中間に位置するレベルに向かって表出した「自己」であるという言い方ができる。(中略)
 たとえばあなたが、ある人を見て恋しいと感じたとする。あなたは胸がわくわくするという身体的な変化を自覚するかもしれない。しかし、そうした身体的な変化にのみ着目するかぎり、それをもって「情緒の表出」という概念のすべてを説明したことにはならない。なぜなら、「胸のわくわく」はそれ自体としては、まさにそういうもの以外のなにものでもないからだ。
 それは脈搏の変化として物理的に計測することができる。しかし、脈搏の変化は恐怖によっても、不安によっても、栄誉への期待によってもおこりうる。物理的な計測のレベルでは、それらは同じ現象としてしかあらわれない。あなたはいまの「胸のわくわく」が相手を恋しいと思う気持ちと結びついているのであって、恐怖に結びついているのではないことを知っているが、その質的な〈意味〉の差異を脈搏の変化という物理的な計測によってはかることはできない(中略)。
 他方、あなたはその自分の感情を、「私はきっとあの人が好きなのにちがいない」と自分に面かってことばで表現したり、また、本当に相手に向かって「私はあなたが好きだ」と語りかける外的な行為に踏み出したりするとする。この場合、いずれにせよそれはすでに「ことば」という[ア]的な関係性の水準として表出されている。
 ところで、自分の情緒性の変化の自覚を、内的な言語であれ、外的な言語であれ、そのように「ことばとしての表出」そのものに限定して把握してしまったら、やはりそれだけでは、あなたが実現した「情緒」の概念を満たしたことにはならない。あなたの感じた「情緒」は、そうした「ことば」に必然的に結びつくものにはちがいないかもしれないが、その中心点は、表出されたことばの手前に位置しているはずだ。
 つまり、そのように、情緒性とは、ある[イ]的な状態と、[ウ]的な言語として意識された状態あるいは[エ]的な言語として表出する行為との両方にまたがり、かつその両方に常に結びつきうる可能性を備えた、一種独特な「自己」のあり方であり、世界への開かれ方なのである。そして、ある特定の情緒にあなたが見舞われるということは、その独特な「自己」のあり方、世界への開かれ方を基盤として、身体と意識と、またある場合には外的な行為の場とに向かって発せられた、自己変容の運動(活動)そのものを意味している。
(出典 小浜逸郎「大人への条件」より)

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

○:1.(ア)社会 (イ)身体 (ウ)内 (エ)外

☓:2.(ア)社会 (イ)感情 (ウ)私 (エ)外

☓:3.(ア)公 (イ)身体 (ウ)私 (エ)社会

☓:4.(ア)公 (イ)感情 (ウ)内 (エ)身体

☓:5.(ア)外 (イ)身体 (ウ)内 (エ)社会

解説

アについて
アの後には「[ア]的な関係性の水準として表出されている。」とあり、これは上記本文冒頭部分の「社会的な関係性として外部化された」が当てはまることになる。
したがって、アには「社会」が入る。
イとウについて
イとウの前後には「情緒性とは、ある[イ]的な状態と、[ウ]的な言語として意識された状態」とあり、これは上記の「身体としての内的な「自己」の水準」が当てはまることになる。
したがって、イには「身体」が入り、ウには「内」が入る。
エについて
エの前後には「あるいは[エ]的な言語として表出する行為との両方にまたがり」とあり、これは上記の「情緒性は、・・・外部化された「自己」の水準との、ちょうど中間に位置するレベルに向かって表出した「自己」である」が当てはまることになる。
したがって、エには「外」が入る。


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