行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成24年11問

行政手続法

○:1.申請に対する処分の手続に関し、当該都道府県の行政手続条例に行政手続法と異なる定めがあったとしても、この処理業許可の申請の知事による処理については、行政手続法が適用される。


問11 (注)* 廃棄物の処理及び清掃に関する法律

廃棄物処理法*に基づく産業廃棄物処理業の許可は、都道府県知事の権限とされているが、それに関する行政手続についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。ただし、廃棄物処理法には、行政手続に関する特別の定めはない。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

○:1.申請に対する処分の手続に関し、当該都道府県の行政手続条例に行政手続法と異なる定めがあったとしても、この処理業許可の申請の知事による処理については、行政手続法が適用される。

☓:2.国の法律である廃棄物処理法の適用は、全国一律になされるべきであるから、同法に基づく知事による処理業許可に関する審査基準は、当該都道府県の知事ではなく、主務大臣が設定することとなる。

☓:3.申請に対する処分の審査基準は、行政手続法によって設定が義務付けられた法規命令であるから、廃棄物処理法に基づき知事がする処理業の許可についても、その申請を審査基準に違反して拒否すれば、その拒否処分は違法となる。

☓:4.一度なされた処理業の許可を知事が取り消す場合には、相手方に対して聴聞を実施しなければならないが、処理業の許可申請を拒否する処分をする場合には、申請者に弁明の機会を付与すべきこととされる。

☓:5.提出された処理業の許可申請書の記載に形式上の不備があった場合については、知事は、期限を定めて申請者に補正を求めなければならず、直ちに申請を拒否する処分をすることは許されない。

解説

1.正しい。
地方公共団体の機関の「行政指導」「命令等を定める行為」については、第2章~第6章は適用除外である。
一方、地方公共団体の「処分」「届出」については、根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものは第2章~第6章が適用除外である(行政手続法第3条3項)。
これを表にまとめると以下のようになる。
地方公共団体の(に)
する行為根拠規定
法律の場合条例又は規則の場合
処分適用除外
行政指導除外除外
届出適用除外
命令制定除外除外
したがって、本肢は、地方公共団体の機関(都道府県知事)が法律(廃棄物処理法)に基づいてする処分(許可)の手続きなので、行政手続法の適用がある。
2.誤り。
行政手続法第5条1項は「行政庁は、審査基準を定めるものとする。」としているが、この「行政庁」とは、原則として処分庁を意味する。
したがって、本問では、原則として知事が審査基準を設定することになる。
なお、廃棄物処理法に基づく処理業許可は、第1号法定受託事務であり(地方自治法別表第一)、各大臣は、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事務の処理について、都道府県が当該法定受託事務を処理するに当たりよるべき基準を定めることができるため(地方自治法第245条の9第1項)、主務大臣が設定することも可能である。
3.誤り。
申請に対する処分の審査基準は、行政手続法によって設定が義務付けられた行政規則(法規たる性質がない)であって、法規命令(法規たる性質がある)ではない。
また、判例は「裁量権行使の準則を定めることがあっても、このような準則は、本来、行政庁の処分の妥当性を確保するためのものなのであるから、処分が右準則に違背して行われたとしても、原則として当不当の問題を生ずるにとどまり、当然に違法となるものではない。」(マクリーン事件:最大判昭53年10月4日)としている。
もっとも、行政庁が審査基準や処分基準と異なる判断をした場合は、その基準に沿って処分された人達と異なる取扱いをすることとなり不平等になるため、平等原則違反として違法になる可能性はある。
4.誤り。
聴聞と弁明の機会の付与は、不利益処分をしようとする場合にとられる事前の意見陳述のための手続である(行政手続法第13条)。
そして、不利益処分には、申請拒否処分は含まれない(行政手続法第2条4号ロ)。
したがって、申請を拒否する場合、申請者に弁明の機会を付与する必要はない。
5.誤り。
行政庁は、法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない(行政手続法第7条)。
したがって、「補正」と「拒否」は選択の関係であるから、直ちに申請を拒否する処分をすることも許される。
なお、行政不服審査法第21条では、「審査請求が不適法であって補正することができるものであるときは、審査庁は、相当の期間を定めて、その補正を命じなければならない。」としており、補正可能の場合は、補正が義務となっている。


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