行政書士過去問ドリル

解答 行政書士試験 平成24年15問

行政法 行政不服審査法

○:3.不作為についての審査請求に理由があるときは、審査庁は、当該不作為庁に対しすみやかに申請に対するなんらかの行為をすべきことを命ずるとともに、裁決でその旨を宣言する。


問15

行政不服審査法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

選択肢(解答ページでは、出題時の順番に戻ります)

☓:1.審査請求が法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法であるときは、審査庁は、棄却裁決を行う。

☓:2.処分についての審査請求に理由があるときは、審査庁は、当該処分の取消しのみならず、処分庁に代わって一定の処分を行うことができる。

○:3.不作為についての審査請求に理由があるときは、審査庁は、当該不作為庁に対しすみやかに申請に対するなんらかの行為をすべきことを命ずるとともに、裁決でその旨を宣言する。

☓:4.不作為について異議申立てがなされた場合、不作為庁は、当該異議申立てが不適法でない限り、不作為の違法を確認する決定を行うか、異議申立てを棄却する決定を行う。

☓:5.事情裁決は、行政事件訴訟法の定める事情判決と同様、処分が違法であるときに一定の要件の下で行われるものであって、処分が違法ではなく、不当であるにとどまる場合において行われることはない。

解説

1.誤り。
審査請求が法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法であるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する(行政不服審査法第40条)。
棄却と却下は、不服申立人の主張が認められない点は共通するが、棄却は審査請求に理由があるかどうかを判断した上での裁決であるのに対し、却下はその判断をしないで下される門前払いの裁決である。
2.誤り。
処分についての審査請求に理由がある場合の裁決には、取消しの裁決と(行政不服審査法第40条3項)、変更の裁決がある(行政不服審査法第40条5項)。
「取消しの裁決」がされた場合は、処分庁は、裁決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない(行政不服審査法第43条2項)。
一方、「変更の裁決」は、本肢の「処分庁に代わって一定の処分を行」っていることになるが、これは、指揮監督権が有ることを考慮して特に上級行政庁にのみ認められているものであって、審査庁一般に認められているわけではない。
変更の裁決とは?
請求に理由がある場合で、審査庁が処分庁の上級行政庁であるときは、審査庁は、裁決で当該処分を変更し、又は処分庁に対し当該事実行為を変更すべきことを命ずるとともに裁決でその旨を宣言することもできる。ただし、審査請求人の不利益に当該処分を変更し、又は当該事実行為を変更すべきことを命ずることはできない(行政不服審査法第40条5項)。
3.正しい。
不作為についての審査請求が理由があるときは、審査庁は、当該不作為庁に対しすみやかに申請に対するなんらかの行為をすべきことを命ずるとともに、裁決で、その旨を宣言する(行政不服審査法第51条3項)。
4.誤り。
不作為について異議申立てがなされた場合、不作為庁は、当該異議申立てが不適法でない限り、不作為についての異議申立てがあった日の翌日から起算して20日以内に、申請に対するなんらかの行為をするか、又は書面で不作為の理由を示さなければならない(行政不服審査法第50条)。
また、不適法で却下する場合は、決定の形式をとるが、なんらかの行為をする場合(認容の役割)と、 不作為の理由を示す場合(棄却の役割)は、決定の形式をとらない。
5.誤り。
処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分を取り消し又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。この場合には、審査庁は、裁決で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない(行政不服審査法第40条6項)。
したがって、不当の場合でも、事情裁決が行われることはある。
なお、行政事件訴訟法における事情判決は、違法な場合にのみ行うことができる(行政事件訴訟法第31条1項)。


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